「歴史・文化」か、「安全・実用」か。京都御所の隣にあり、NHK大河ドラマのヒロイン、新島八重が勤務したことでも知られる京都府立鴨沂(おうき)高校(京都市上京区)の校舎建て替えを巡って論争が起きている。耐震性不足やグラウンドがないなどの問題から、全面改築計画を進める府教委に対し、専門家や卒業生有志が保存を求める活動を展開しているのだ。府教委は一部保存案を示した設計業者を選定したが、ヘレン・ケラーが講演するなど伝統ある校舎だけに、全面保存を求める声は根強く、まだ論争が続きそうだ。八重ゆかりの伝統校 府立鴨沂高校は、明治5(1872)年に開校した新英学校及び女紅場を前身とする創立約140年の伝統校で、日本で初めての公立女学校となった。 もとは、京都市上京区の九条家河原町邸跡地に校舎があったが、明治33(1900)年に現在地に移転した。京都御苑の東隣に位置し、周りには、新島旧邸や梨木神社など、歴史