思わぬヒットに本人も驚いている。呉座(ござ)勇一さん(36)の『応仁の乱』(中公新書)が、昨年十月の刊行から三十万部以上の売り上げを記録している。「難しいと言われます。だって、三十万人の読者なんて想定していないわけですから」 応仁の乱は、室町幕府崩壊の引き金となった。有力大名・畠山氏の家督争いなどを発端に、細川勝元と山名宗全(そうぜん)を総帥とする大名間の勢力争いに発展。足利将軍家の跡継ぎ問題も絡み合い、混沌(こんとん)とした様相を呈しながら戦乱は十一年におよんだ。結果として幕府は弱体化し、日本は群雄割拠の戦国時代に突入する。 本のヒットには「希望を持ちました」とも話す。「われわれが生きているのは複雑で混沌とした社会です。複雑なものを極度に単純化して分かったような気にさせる本ばかりが売れて、ちょっとなあと日頃から思っていました」 東京大の日本史専攻に進学した大学三年生のとき、米中枢同時テロ
大阪府豊中市の国有地が学校法人「森友(もりとも)学園」(大阪市淀川区、籠池(かごいけ)泰典理事長)に評価額の14%の値段で売却された問題に関し二十四日、昨年六月の売買契約を巡る売り主の近畿財務局と学園側の交渉や面会の記録が、既に廃棄されていることが分かった。財務省の佐川宣寿理財局長が衆院予算委員会で明らかにした。 (横山大輔) 佐川氏は、記録は同省の文書管理規則で保存期間一年未満に分類されるとし、「売買契約の締結をもって、事案は終了した。記録は速やかに廃棄した」と説明した。これに対し、共産党の宮本岳志氏は「契約と同時に破棄したのでは調査しようがない。隠蔽(いんぺい)と言われても仕方がない」と批判した。 国有地は、小学校用地として当初の評価額九億五千六百万円から、生活ごみや廃材の撤去費用八億円余りを差し引き、大幅に安い一億三千四百万円で売却された。民進党など野党側が経緯が不自然だとして国
全国の裁判所に対する個人の自己破産申し立てが二〇一六年は前年比七百八十一件増の六万四千六百三十七件となり、十三年ぶりに前年を上回ったことが十日、最高裁の速報値で分かった。貸金業者への規制強化によって、ピークだった〇三年の三割未満まで減ったが、最近は銀行が個人向けカードローン事業を強化しており「こうした動きが自己破産の増加につながっている」(専門家)と指摘する声もある。 最高裁の司法統計によると、個人の自己破産の申し立ては〇三年が二十四万二千三百五十七件。その後は年々減少し、一五年は六万三千八百五十六件となった。 自己破産が減少を続けてきたのは、多重債務者の増加が社会問題となり、貸金業者への規制が強まったことが背景にある。〇六年に改正貸金業法が成立し、原則として利用者の年収の三分の一までしか融資できない「総量規制」が導入された。
腹筋を鍛える運動器具「ワンダーコア」を使用中に死亡したのは器具の欠陥が原因として、名古屋市の男性=当時(46)=の親族女性が、ワンダーコアの輸入販売会社「オークローンマーケティング」(同市)に七千万円の損害賠償を求め、名古屋地裁に提訴した。提訴は十四日付。 訴状によると、男性は昨年五月九日未明、自宅でワンダーコアを使用中、首につけていたネックレス二本が、器具のヘッドレストか背もたれ部分のピンに引っかかり、首を締め付けられて窒息死した。
歴史的に価値が高い公文書などを管理する国立公文書館の本館(東京都千代田区)と分館(茨城県つくば市)の文書保管能力が、早ければ二〇一八年度中にも限界となる可能性が生じている。新館の整備も具体化していない。各省庁で保管期限が切れた重要文書が廃棄される懸念がある。特定秘密保護法施行で政府の情報公開への姿勢が問われる中、保管に支障が出れば国民の知る権利が阻害されかねない。 (中根政人) 内閣府によると、本館の九割、分館の七割の保管場所が埋まり、あと三~四年で満杯となる。新館は衆院議院運営委員会の小委員会で建設地の選定を進め、昨年通常国会中に結論を出す方針だった。だが昨年八月の中間取りまとめでは、意見調整の遅れから国会議事堂周辺の二カ所を候補地に挙げるにとどまった。 公文書管理法に基づき、公文書は保管期限がくるまで各省庁が管理する。保管期限後は、政府が「歴史資料」と判断した重要な文書は、公文書館
厚生労働省は二十五日、本人が死亡したか、行方不明になっているにもかかわらず届け出がなく、公的年金の受給者となっていた人が全国に三百二十二人いたと発表した。八月までに全員の支払いを停止した。死後四十六年も年金が支払われていた人もいた。
児童虐待の情報が、児童相談所(児相)に届かない-。国が虐待情報の通報などのため、七月から導入した全国共通ダイヤル「189」について、児相に転送される前のガイダンス段階で、利用者が切るケースが首都圏の一部自治体で約八割に上ることが、本紙の取材で分かった。通報に料金がかかり、児相につながるまでに時間を要する仕組みに不満が出ている。情報提供をした人が電話の途中で切ってしまうケースもあり、関係者からは改善を求める声が出ている。 (北川成史) 本紙は首都圏で児相を運営する一都六県と政令市五市、中核市の神奈川県横須賀市から、七~十月の189の状況を質問。このうち茨城、群馬、千葉、神奈川の四県と千葉、横浜、横須賀の三市から、189が児相までつながった件数と途中で切れた件数について回答があった。ほかの自治体は詳しい統計を取っていなかった。 回答によると、四県三市の管轄地域内であった189の計六千八十六件の
企業が女性の管理職登用などで数値目標を設定、達成した場合に助成金を支給する厚生労働省の2014年度の事業に、企業からの申請が1件もなく、予算約1億2000万円が全く執行されなかったことが27日、厚労省への取材で分かった。 当初、14年度の対象は500社に上ると見込んでいた。厚労省は「助成金支給を数値目標達成時に限定したため」と分析。大企業などに数値目標設定を義務付ける女性活躍推進法施行を来年4月に控え、本年度から要件を一部緩和し、助成額も増やすことを決めた。10月以降に新たな要件を示し、申請を受け付ける。
西南戦争で右肋骨(ろっこつ)に銃撃を受け、警視庁では中間管理職の警察官-。幕末に活動した新選組の生き残りとして知られながら、史料が少なく、謎が多いとされる斎藤一の明治維新後の従軍歴などが、国立公文書館が所蔵する明治時代の恩給関係の文書で明らかになった。歴史研究家のあさくらゆうさん(46)が公開請求した。 文書は、退職公務員の恩給請求書などをまとめた「明治廿六年官吏進退恩給二」の文官恩給の部。斎藤は警視庁を退職翌年の一八九三年一月十九日付で、警視総監宛てに申請した。丁寧な文字で書かれた「西南之役従軍履歴」などは直筆とみられ、維新後から使った「藤田五郎」の名前で、押印もある。 これによると、斎藤は七七年二月二十日に内務省の警視局で警部補となり、同五月十七日に「警視第二番小隊半隊長」として西南戦争へ従軍。四日後の同五月二十一日に大分県の嵯峨へ着き、同七月十二日に大分県の高床山で弾丸により右肋骨を
政府・与党は二十九日、働く時間ではなく成果に賃金を払う「残業代ゼロ」制度の創設や裁量労働制の対象拡大などを盛り込んだ労働基準法改正案の今国会での成立を断念した。過重労働を助長させ過労死を増やすとの強い反発が出ている上、安全保障関連法案の参院審議や年金の情報流出問題などで改正案の審議入りの見通しが立たず、成立は困難と判断した。秋の臨時国会での成立を目指す。 労基法改正案は、四月三日に国会に提出された。衆院厚生労働委員会では「生涯派遣」と批判のある労働者派遣法改正案の審議や、年金情報流出問題に関する審議が続いた。安保法案の衆院強行採決による国会審議の中断も重なり、労基法改正案は審議入りしていない。 国会会期は九月二十七日まで延長されたが、参院では与野党が対立する派遣法改正案の本格審議がこれから始まる。野党は年金情報流出問題も追及する構えで、労基法改正案の今国会での成立は厳しい情勢になっていた。
「岐阜市鷺山(さぎやま)一七六九の二」。この住所に住む人が四百人以上いる。市が戦後、河川敷の跡地に一戸建て住宅を整備し分譲した際、住所表記に手を付けなかったからだ。郵便物の誤配だけでなく、救急車の到着遅れという深刻な問題も発生。住民は分かりやすい住所表示を求めるが、市は土地の境界を画定させる作業を優先しており、実現のめどは立っていない。 (安部伸吾) 「救急車が目的の家を見つけられず、前の道路を四回も行ったり来たりした。慌てて外に出て道案内したんだ」。ここに父親の代から住む吉田一郎さん(67)は苦笑いする。岐阜北郵便局は独自に作った地図を使うが、それでも住民から「誤配で再配達を依頼したら、同じ郵便物がまた届いた」との苦情も。担当者は「迷う必要のない住所にしてもらいたい」と注文する。 この地番は岐阜市北部にあり、南北六十メートル、東西五百メートル。一九三五(昭和十)年ごろまで流れていた川の河
セブン&アイホールディングスが傘下のイトーヨーカドーなどで十月から販売している九百ミリリットル入りのプライベートブランド(PB)の牛乳が、インターネット上などで話題になっている。セブン側は「単身者や高齢者らが飲み切りやすい量にした」と狙いを説明するが、牛乳の原料価格は上昇傾向。「小売り価格を上げないために一リットルから量を減らした苦肉の策では」との声も多い。 (白山泉) この商品は「セブンプレミアム 北海道十勝おいしい牛乳」。パックは上部が斜めに切り取られたような形で、「高さ」は従来の一リットルとほぼ同じだ。日本製紙や日本大芸術学部と共同開発したパックは開けると上部に「空洞」があることに気付く。一リットル入りと誤解されないよう「新容量900ml」と書かれている。
横浜市立図書館の蔵書約四百万冊のうち、年間約一万九千冊が持ち去りなどで不明になっているとして、市監査委員は十六日、対策を求める意見をつけた監査報告を林文子市長に提出した。 不明除籍は、その書籍などが不明になってから三年以上たった場合に行う。貸し出し手続きを経ず、無断で持ち出されたケースがほとんどで、事実上盗まれた形だという。 監査結果によると、市内十八図書館では二〇〇九~一三年度の五年間で、計約九万五千冊を「不明除籍図書」として除籍。蔵書数に対する比率は0・5%で、市中央図書館によると「全国的にも0・4~0・5%でほぼ同水準」という。ただ今回、個別監査の対象になった鶴見図書館が1・1%(千百二十一冊)と高いなど、ばらつきもある。
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