2005年1月に出た「C++の設計と進化」(ソフトバンク パブリッシング発行)を読んだ。C++の設計者であるStroustrup自身が,C++の設計哲学や標準化されるまでの出来事を語った本である。原著が出たのは1994年とかなり古いが,日本語版にはStroustrupによる「2005年のC++」という1章が加筆されている。原著を読まれた方も,とりあえず手にとってみてはいかがだろうか。 さて,本書を読んで改めて感じるのが,日本におけるC++の最近の評価が低すぎるのではないかということだ。Javaが普及した今となっては「もはや過去の言語」という声すら聞くほどだ。10年以上にわたってC++を触ってきた記者から見ると,悲しい限りである。 確かに,開発コストを考えると,業務システムの開発にC++がほとんど使われないのは仕方がない。しかし,実行速度やメモリー効率が重要なソフトや,コストを掛けただけの見