悪文を尊ぶ日本人 どうも日本人には、高尚な文章は難解でなければならないという錯覚があるらしい。この傾向は作家や大学の教師に特に強いように思われる。おおよそ、平均的な日本人が2回も3回も読んで、なお筆者の言いたいことが理解できないとするならば、それは読み手側の責任というよりは書き手側の責任であるというべきであろう。なぜ、自分の訴えたいことをわかりやすくストレートに表現しないのか。 もし、自分の言いたいことをストレートに表現しないことの原因が、間違いを指摘されることを恐れることにあるとするならば、何とも情けないというほかない。大学の教師は、教室では自説を述べ、学会では通説を発表するという話を聞いたことがあるが、これなども背後に同じような心理が働いているせいかもしれない。 毎年、センター試験後の1月末から3月にかけて、大学入試のための小論文指導に忙殺される。今年も終わってみれば40人の指導をし