あいちトリエンナーレに端を発した大村愛知県知事の不正リコール問題。たぶん一般的には「うさんくさい医者と怪しげな政治家による度を超えた悪ふざけ」くらいの感覚なのかもしれない。 しかし私は、これは2000年代以降の日本社会に流れる三本の暗い濁流が混ざり合うことで起きた、象徴的な事件だと思っている。 一つ目の濁流は、本来は中立的な立場で住民サービスを提供するべき行政の長が党派性を剥き出しにして、国民や住民を二分する政治手法の蔓延である。小泉純一郎から橋下徹や安倍晋三、小池百合子や松井一郎へとより品性を下げつつ引き継がれてきたやり方が、愛知県に襲いかかってきたということなのだろう。実際、首謀者たる河村たかしは、この県民の分断を煽るリコール活動を「名古屋市長としての公務としてやっている」と公言していたし、「表現の不自由展」に最初にクレームをつけたのは大阪維新の会を率いる松井一郎と吉村洋文だった。 二
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