ゴスペル・クァルテットの最上級と目されていた名門グループ、「ソウル・スターラーズ」のリード・シンガーだったサム・クックは、1957年にR&Bのソロ歌手になって独立したことでセンセーションを巻き起こした。 ”聖”のゴスペルから”俗”への転向、そのことがスキャンダル視されるほど、当時は両者の間には大きな隔たりがあった。 しかしサムは自作の「ユー・センド・ミー」を大ヒットさせて、R&Bチャートとポップチャートの両方で第1位を獲得し、広範な層からの支持を集めた。 それ以後は洗練された音楽性とソフトな歌い方、端正で甘いマスクも味方したサムは、R&Bの枠を超えて白人にも受け入れられてポップ・シンガーの仲間入りを果たす。 サムは1958年には自分が作った楽曲を管理するために、マネージャーとともに音楽出版社を設立した。 白人の経営するレコード会社や音楽出版社に権利を奪われたり、あるいは一方的に搾取されない