2011年10月5日にスティーブ・ジョブズが逝去して以来、ビジネス界のもっぱらの関心は、この希有な才能を持つ創業者なしに米アップルが生き延びていけるのかという点である。ジョブズは世の中をすっかり変えてしまうような革新的な製品やサービスを構想して人々を夢中にさせたが、同時に、ワンマンで製品開発の重要な判断を下し、恐怖政治もどきの厳しいルールで社内を統制していた。アップルの成功には、このジョブズという特異な人となりが奏効したと思われてきた。 だが、ジョブズは既に何年も前に、アップルのDNAを次代に継承させるためのアップル大学を自ら創設していたのである。目的は、アップルの成功を法則化することだった。アップルはジョブズ亡き今も以前と同様の秘密主義を保っていて、このアップル大学についても詳しい実態を明らかにしていない。だが、関係者らの証言を総合すると、こんな姿が浮かび上がってくる。 アップル大学の設