「昔むかし金剛山(クムガンサン)の山奥に、両親のいない姉弟が暮らしていた。ある日、姉が病気にかかると弟は薬草を探して山に入っていった。夜遅くまで帰ってこない弟を待つ姉は、提灯火を持って道に出たが山腹で倒れてしまう。薬を求めて帰ってきた弟は息を引きとった姉を発見し、姉のそばには提灯の火が一輪の花になって咲いていた」。 金剛山(クムガンサン)姉弟の悲しい伝説を大切に守ってきた金剛提灯花(クムガンチョロンコッ)。京畿道加平(キョンギド・カピョン)北側の湿った山中で8~9月に花を咲かせる韓半島固有の植物だ。だが世界植物学界で通用している金剛提灯花の学名は「ハナブサヤ・アジアティナ・ナカイ(Hanabusaya asiatica Nakai)」だ。日帝強制占領期間に植物学者の中井猛之進(1882~1952)氏が1911年に金剛提灯花を新しい属として命名し、自身に朝鮮植物の研究を提案した花房義質(1