真珠湾攻撃を行った九七式艦上攻撃機(月刊「丸」・昭和36年7月号収載) 米国名将の評価開戦劈頭(へきとう)、みごとな戦果を戦史上に記録した真珠湾奇襲については、国内ではあまり論評されていない。 これは文句のない勝利であったことにもよるだろうが、敗戦に終わったこの戦争の部分的勝敗などをとらえて、あげつらってもしかたがあるまいという国民感情に支配されているからであろう。 もっとも、ぜんぜん論議がなかったわけではなく、極東裁判における新聞記者団の共著になる『東京裁判』に以下のごとき一節がある。 「真珠湾奇襲が日本の勝利の第一歩でなくて、じつはきたるべき敗北の大きな素因にほかならなかったことと、そして真珠湾作戦は、まことに日本戦略の過誤--とりかえしのつかない大きな過誤だった」