豚は、古代世界でことさら珍重された。紀元前3000年紀、エジプトの農民は豚を飼育し、大量に消費した。そこに豚を見下す風潮はなかった。それどころか、その肉はオシリスの神に捧げるのに相応しいものとされていた。 多神教の社会(ギリシャ、ローマ、ゲルマン、北欧、ケルト、スラブ)では、神々を讃えるために豚を生け贄に捧げた。豚は人々の命を支える食べ物だった。その肉はごちそうであり、その脂は灯りに使い、皮革と腱は楽器の弦に、毛はブラシや筆になった。 では、なぜ一神教では、豚が蔑視されることになったのか。
豚は、古代世界でことさら珍重された。紀元前3000年紀、エジプトの農民は豚を飼育し、大量に消費した。そこに豚を見下す風潮はなかった。それどころか、その肉はオシリスの神に捧げるのに相応しいものとされていた。 多神教の社会(ギリシャ、ローマ、ゲルマン、北欧、ケルト、スラブ)では、神々を讃えるために豚を生け贄に捧げた。豚は人々の命を支える食べ物だった。その肉はごちそうであり、その脂は灯りに使い、皮革と腱は楽器の弦に、毛はブラシや筆になった。 では、なぜ一神教では、豚が蔑視されることになったのか。
私たちは自分で自分の遺伝的資質に合わせている ──DNAによって私たちの性格が形作られていることに関心を持ったのはなぜですか。 人生を振り返ってみたとき、分岐点のような瞬間があったと考える人は多いですよね。私はシカゴの中心街で育ちました。大学がどんなところなのか知る人は、家族にはいませんでした。大学に進学すれば奨学金がもらえると進路指導の担当者に教えてもらい、これは良い話だと考えてテキサス大学に出願したんです。 そのときは、この大学が行動遺伝学を必修科目とする世界唯一の大学だとは知りもしませんでした。ですが、「生涯を通じて行動遺伝学に取り組みたい」と思うようになるまで時間はさほどかかりませんでした。 クラスには30名ほどの学生がいましたが、行動遺伝学を面白がっていたのは私だけでした。おそらくそれは私の性格によるものでしょう。私は主流に歯向かうのが好きです。心理学にとって、遺伝は重要だと私は
新たな調査によって、日本には142のアニマルカフェが存在し、なかには絶滅危惧種で取引を厳しく禁じられている種の動物もいるという。専門家たちはこうした現状を憂慮し、非難する。 日本には、コーヒーを楽しんでいると頭上にフクロウがやってくるカフェに、生きたペンギンたちがガラス越しにこちらを凝視するバーがある。「エキゾチックアニマルカフェ」と呼ばれるこうした店は日本人のみならず、目新しいもの好きな海外からの観光客にも人気がある。彼らはかわいい動物たちとの自撮りに余念がない。動物を購入して、家に持ち帰ることまで認める店も一部ある。 だが、アニマルカフェの客はいざ知らず、こうしたカフェは野生生物保護、店内の衛生と公衆衛生、そして動物福祉を危険にさらしている。 日本国内のアニマルカフェすべてを対象に実施された調査の結果が、専門誌「保存科学と実践」で発表された。それによれば、アニマルカフェには419種・3
イタリアの歴史学者が発表した、新作小説の内容が世界に衝撃を与えている。レオナルド・ダ・ヴィンチの母「カテリーナ」の出自について、衝撃的な仮説が提示されたのだ。 レオナルド・ダ・ヴィンチの母親はいったい誰なのか? この謎は何世紀にもわたって研究者たちを魅了し、振り回してきた。 ほんのひと握りの事実は知られている。 彼女の名はカテリーナで、1451年のあるときに公証人のセル・ピエロ・ダ・ヴィンチと関係を持ち、翌1452年4月15日に男児の婚外子を生んだ。そして、その男児に「レオナルド」という洗礼名が与えられた。レオナルドの生誕を記録した銘板が、フィレンツェから約50キロ離れたヴィンチ村に建つサンタ・クローチェ教会内にある。レオナルドの洗礼式はここでおこなわれた可能性が高い。 研究者らは長年、レオナルドの母は「ヴィンチ村の小作農」「身分の低い生まれの十代の少女」「ユダヤ系か中国にルーツを持つ女性
米国では何年も前から、「次に流行るアルコールは日本酒だ」と言われてはきたものの、実際に人気が出たのは他の酒ばかりだった。だがここに来て、ついに「飛躍の兆し」が見えはじめたという──米紙「ニューヨーク・タイムズ」が、現地の状況を取材した。 自宅で日本酒を造ってみたら 加藤忍は若い頃、東京で初めて日本酒を飲んだ。雑味があり刺激が強くて、とても好きにはなれなかった。しかし、年上の同僚から「それは質の悪い安酒を飲んだからだよ」と言われ、上質な日本酒を知っていくうちに、彼はだんだんとそれが好きになっていった。 2004年、メリーランド大学でビジネスを学ぶために渡米した加藤は、自身が初めて口にしたような質の悪い酒しか買う余裕がなかった。そこで彼は、いっそ自分で醸造してみようと思い立った。自宅のキッチンで米を蒸し、それを発酵させた。驚いたことに出来栄えは上々で、友人たちにも好評だった。 その後、日産自動
愛車は子供用キックボード 豪ベサングラのガソリンスタンドで、3人が揉めていた。“彼”にランチを買ってあげるのは自分だ、と。隣町ジューニーの駅では、髭をたくわえた男性が声をかけ、彼を家に泊めた。 オーストラリアの裏道沿いにある町々で暮らす人たちが彼に提供しようとするのは、熱いシャワーや暖かいベッドばかりでなく、ビールやハンバーガー、そして心からの、目が潤むほどの会話だった。そのほとんどはグーグル翻訳を介してなされた。 三船涼圭──通称“うに”が、モーターのない子供用のキックボードで約4000キロに及ぶ旅を始めておよそ1ヵ月半(註:3月17日時点)が過ぎた。“うに”の見込みではあと6ヵ月はかかるという。
空前のサウナブームは、米国でも広がりを見せている。ストレス改善からデトックス、ダイエットに至るまでさまざまな効能が期待されているが、実際のところはどうなのか? 米紙「ニューヨーク・タイムズ」が複数の医師に聞いた。 近頃、ニューヨークのイーストビレッジにあるロシア式サウナ店「ロシアン・アンド・ターキッシュ・バス」の120個のロッカーは、週末や祝日になると早々に埋まってしまう。今年の元旦には、5つあるサウナとスチームルームすべてが20〜30代くらいの汗だくの若者でごった返し、190度の高熱のなかで、代わる代わるバケツの水を頭からかぶっていた。 パンデミックが一段落した今、131年の歴史を持つこのサウナは再びブームの時を迎えている。2022年の営業利益は最盛期の2010年代から20%増になったと、経営者のドミトリ・シャピロは話す。 また、ウィリアムズバーグにあるスパ「バスハウス」は、担当者による
より高い給与を求め、海外で働く日本人の若者が急増している。その原因は日本の給与が安いからというだけではない。背景にあるその本当の理由に、英誌「エコノミスト」が迫った。 海外に「出稼ぎ」に行く若者の急増 神奈川県出身のアシハラ・マリナ(25)は、世界を見たいと思っていた。2022年4月、彼女は「ワーキング・ホリデー」プログラムを利用し、オーストラリアに移住した。この制度では、31歳未満の若者に1年間のビザが発給される。彼女は、東部の農場で4ヵ月間働き、現在はシドニーでバリスタとして働いている。 冒険のつもりで始めた海外生活だったが、それが経済的にも合理的だと気づいた。彼女は最低賃金で働いているが、その時給は時給21.38豪ドル(約1960円)と日本の最低賃金の倍額だ。パートタイムで働いても、東京でOLとして下働きをしていたときよりも多くの収入を得られる。 海外で働こうとする日本人がいま増えて
新約聖書によれば、ナザレのイエスはエルサレムで十字架にかけられて死に、そこで墓に葬られたが、3日目に復活し、弟子たちの前に姿を現してのち天に昇っていったという。だが、その伝承と食い違う「キリストの墓」が、極東アジアの日本にある。その謎にせまるべく、仏紙「ル・モンド」東京特派員フィリップ・メスメールが現地を取材した。 国道454号線で青森県の新郷村という山村を通ると、ぎょっとする案内標識に出くわす。「キリストの墓」への行き方を示す青看板だ。標識の案内に従ってたどりついたのは、国道から外れたところにある、木々が生い茂る小高い丘だ。 そこに土がこんもりと盛られた土饅頭がふたつあり、それぞれ大きな灰色の木の十字架が立つ。その土饅頭のひとつが、キリストの墓だ。もうひとつの土饅頭には、聖遺物であるイエスの弟イスキリの耳と聖母マリアの頭髪が奉納されているという。 世間一般では、キリストはエルサレムの聖墳
領土をめぐる限定戦争から、グローバルな経済の衝突へ ──ウクライナでの戦争に関する本を日本では出版したのに、フランスで出版していないのはなぜですか。 日本人が反ロシアなのは、ヨーロッパ人に引けを取りません。ただ、今回の戦争は日本から地理的に遠く離れたところで起きているので、そこまでの切迫感がありません。日本人は私たちヨーロッパ人ほどウクライナに感情的になっているわけではないのです。 それに日本での私のステータスは、ここフランスとはまったく異なります。フランスでは、私の評判は「クレイジーな反逆児野郎」という荒唐無稽なものになっていますよね。しかし日本に行けば、私は大手新聞各紙や主要雑誌に発言が載る人類学者、歴史家、地政学者として評判もよく、書いた本はすべて日本語に翻訳されています。私は日本では落ち着いた雰囲気のなかで自分の考えを述べられるのです。 だからまずは日本の雑誌を相手にそれをして、そ
ブラジルの哲学者で政治活動家のロベルト・マンガベイラ・アンガー教授が、新著『世界政府なしで世界を統治する』(未邦訳)を上梓した。混迷を極めるこの時代に世界がひとつになるには、どうすれば良いのだろうか。米メディア「ノエマ」がインタビューした。 「ひとつにまとまる」ことは災難のはじまり ──近著のなかで、あなたは「グローバリズム」(国家という枠組みを超えた政府の実現を信じること)に頼らず、いかに世界的な公共財を生産すべきかを論じていますね。 主権国家の存在が国内政治や国際関係の基盤であることは明らかです。しかしこの「国家主権」によってグローバルな協力関係が妨げられ、さらには(環境破壊などによる)地球の居住可能性が脅かされていることもまた、否定できません。 こうしたさまざまな要素のせめぎ合いを前に、私たちはどうするべきでしょうか? アンガー グローバル・ガバナンス(世界に影響を与える問題を解決す
仕事を持つ傍ら、以前の世代の親よりも子供との時間を持とうとする現代の母親は強いプレッシャーを感じている。そして実際に、子育ては昔よりも大変な仕事になっているというのだ。 米国の親たちは、育児が予想よりもはるかに大変だと感じている。これは、「ピュー研究所」による最近の大規模な調査で明らかになった。そして、彼らがただそう感じているだけでなく、実際に子育ては昔よりもきつい仕事になっていることが、さまざまな調査の結果でわかっている。 この米国人の親3757名を対象とした最近の調査によれば、18歳以下の子を持つ親の10人に8人が、育児に関わる時間の大半、あるいは全部を楽しくてやりがいがあるものと感じている。しかし、全体の3分の2は思っていたよりも大変だとも回答している。「思っていたよりずっと大変である」という回答もここに含まれているが、そう答えたのは母親の3分の1にのぼっている。 この結果は、ほかの
ユダヤ人(Jew)と日本人(Japanese)の子孫は「ジューパニーズ(ユダヤ日系人)」と呼ばれる。そのアイデンティティを持つ人たちが語る歴史を記録するカーメル・タナカに、イスラエル紙「ハアレツ」が聞く。 カーメル・タナカは、ホロコーストを生き延びた東欧ユダヤ人の孫だ。第二次世界大戦中の大半を、カナダのブリティッシュ・コロンビア州にあった強制収容所で過ごした日系カナダ人の孫でもある。 イスラエルの沿岸都市ハイファで生まれ育ったタナカの母は、街を見下ろすカルメル山脈にちなみ、次女をカーメルと名づけた。 タナカの両親はふたりとも建築家で、1970年代にエルサレムにあるベツァルエル美術デザイン学院で出会った。父は交換留学生としてこの学院に通っており、母はそこの学生だった。タナカは言う。 「母が初めて目にしたアジア人が父でした。その当時、国際恋愛は非常にタブー視されていたので、両親はカナダで家庭を
2023年1月13日、安倍元首相を殺害した山上徹也容疑者は、殺人と銃刀法違反の罪で起訴された。しかし、そんな彼を擁護する声が日本各地から上がっている。そんな状況に英誌は驚き、今後の日本について危惧している。 暗殺者・山上を支持する日本人 日本映画『Revolution+1』は、2022年7月に安倍晋三元首相が殺害された際の実際の映像で始まる。その不鮮明な映像は、奈良で街頭演説をする安倍の背後から、手製の拳銃を構えた山上徹也が近づいていったときのものだ。 安倍元首相銃殺の実行犯山上容疑者をモデルにした映画『REVOLUTION+1』の予告篇 この映画は、「川上」という主人公を同情的に描く。その男の経歴は、実際に安倍を殺した犯人と酷似している。父親は同じように自殺し、母親はカルト集団である旧統一教会に入れ込んでいた。
ソーシャルメディアの使用が、10代の脳に変化をもたらしていることが新しい研究で明らかになった。 ノースカロライナ大学の神経科学者による研究によれば、ソーシャルメディアを使用した10代は、使用していない同年代よりも、他者からの社会的報酬に対する関心が高いことがわかった。 社会的報酬とは、他者からの承認や評価、信用、信頼、尊敬などを指す。その報酬を得る快感は、いわゆる「承認欲求」に支えられていると言われている。よって「社会的報酬への関心が高い」ということは、他者からポジティブな印象を得られるかどうかへの関心が高く、「仲間からのフィードバックに敏感になっている」ことを示している。 同研究は、急速な脳の発達期である12歳から15歳の中学生169人を対象に行われ、対象者はインスタグラムなどのソーシャルメディアのフィードをチェックする頻度に応じて、グループに分けられた。 米紙「ニューヨーク・タイムズ」
日本の「マンガ」人気が世界で高まっていると、海外メディアで報じられることが増えている。そんななか、英誌「エコノミスト」は、マンガはウェブトゥーンにいずれ敗れると分析する記事を掲載した。その根拠は何なのだろうか。 急成長する韓国のウェブトゥーン イ・ヒョンソクは、韓国で『ドラゴンボール』や『スラムダンク』などの日本のマンガに夢中になって育った。彼はその後、東京に移住し、漫画家・編集者として成功を収めた。 その後、韓国では「ウェブトゥーン」が登場した。これは、スマートフォン用に最適化されたイノベーティブなマンガのプラットフォームだ。当初、イはこれにそれほど良い印象を持たなかった。日本のマンガ作品が独創的なグラフィックスタイルや洗練されたストーリーを持つのに比べ、ウェブトゥーンの作品は粗雑で表面的だと感じたのだ。「『これなら誰でも作れる』と思いました」とイは語る。 しかし、日本のマンガは韓国のウ
なぜ人類は古代から戦争中に敵をレイプしてきたのか? 現代でも紛争があるところには、必ずといっていいほどレイプ行為が存在する。その理由を、イスラエル紙「ハアレツ」の考古学記者が歴史から読み解く。 戦争のこととなると、われわれ人間には社会性昆虫との共通点がいっぱいある。両者ともインフラを構築し、「交通規則」に従う。複雑なチームワークに参与し、効率的な分業のために働き手を配置する。 威勢のいい昆虫の兵士は、人間の兵士みたいにおそろしく計算ずくで、残酷なこともある。奇襲し、虐殺し、敵を奴隷にし、縄張りを奪う。 全面戦争に従事するアルゼンチンアリの能力は南米はおろか、たとえば米国カリフォルニア州南部でも確認されている。サンディエゴからほど近いメキシコとの国境線沿いでは毎週、われわれのすぐ足元に、何百万という犠牲者のバラバラ死体が横たわっているのだ。 航空マニアに紹介すべきは、ハチたちの戦争だ。強烈さ
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