喪服のマリア・テレジア 道徳に厳しい女帝 これまで、マリア・テレジアが夫、神聖ローマ皇帝フランツ1世(フランツ・シュテファン)に先立たれてから、男しかなれない皇帝位を継いだ息子ヨーゼフ2世との共同統治時代、未経験で軽率な皇帝の独断専行に悩まされ、その尻拭いに追われてきた姿をみてきました。 この史上稀にみる偉大な女性のおかげで、オーストリアがヨーロッパの強国として維持されてきたのは衆人の認めるところです。 また、この女帝は信仰心篤く、また高いモラル意識がありました。 これも、上に立つものにふさわしい高潔な人格、高邁な道徳の持ち主として尊敬されました。 これに対し、ヨーゼフ2世がのこのこと会いに行ったロシア女帝エカチェリーナ2世などは、夫帝を廃したあと、愛人をとっかえひっかえ毎晩のように寝室に引き入れ、情事にふけりました。 その数は3桁に達したといわれ、孫のニコライ1世から『王冠をかぶった娼婦