■はじめに カナダでは、2018年10月17日から大麻が解禁され、使用が合法化されています(州法の規定に基づいて、18歳以上の者は合法的に30グラムまでの大麻を所持したり、他人と共有することが可能)。日本を含めて世界中の圧倒的大多数の国は、現状では大麻について厳しい態度を取り続けていますので、カナダのこの試みは、国を挙げての壮大な実験といえるでしょう。ただし、これは後戻りがほぼ不可能な実験です。大麻の規制については、緩和の方向にあるのが世界の流れかもしれませんが、大麻解禁によって、これからのカナダ社会がどのように変化していくのかについては、世界中が注目していることと思います。 ところで、カナダには毎年、たくさんの日本人が旅行や留学などで訪れています。カナダで大麻が解禁されたことから、彼らが大麻パーティなど、現地で大麻に触れる機会も出てくることと思います。また、好奇心でみずから大麻を購入し、
6日の「麻原執行」後、ご家族等と予定がぶつからないよう確認の上、週明けの9日月曜朝に小菅を訪ねた。さすがにやつれきっていた。彼も彼を囲む人々も、私自身も大変に焦燥して厳しい一週間になった。覚悟して迎えた13日金曜、生存を確認して訪れた時の彼の表情を私は生涯忘れない。この金曜を乗り越えて明らかに彼は強くなった。こんな拷問に人は適応してよいのか?という疑問。そしてこんな状況にすら気丈に立ち向かう豊田君の姿。 「残された時間を精一杯生きる」と、落ち着いた表情で語る豊田君と、私はブロックチェーンや暗号の数理を考え、エジプト式分数を一緒に計算し、古代ハンムラビ法典の野蛮と中世イスラム法の寛容の差を議論した。 今だから記すが、兵庫出身の豊田君は手元にあった現金にいくばくか足し、匿名で西日本豪雨被害者救済の義援金に全額寄付して身辺を整理した。 3月にオウムの死刑確定者が各地の拘置所に移された際、豊田君も
最近よく考えることに、人間を強制的に幸福にするユーザーインターフェースは作れないか、という着想がある。100万ユーザー級のアプリのUI改善に何本か関わった結論として、単に使いやすいインターフェースや、KPIアゲアゲの設計とかに飽きた。 むしろ統計、認知心理学、脳科学、行動経済学などをフル活用して、デザインで強制的に幸せを生産できないだろうかと考える。 幸せは生産できるか? アメリカの哲学者、ウィリアム・ジェームズの言葉に、「私達は幸せだから笑うのではない。笑うから幸せなのだ」というものがある。日本にも類似の表現として、「笑う門には福来る」という諺がある。 両者で注目したいのは、因果関係の方向だ。どちらも方向として、「笑う」→「幸福」という因果関係を説いている。「幸福」→「笑う」ではない。 実は最近の脳の研究によると、とりあえず口角を持ち上げれば、人間の脳はドーパミンを生産するのだという。脳
トラウマ研究の第一人者であるベッセル・ヴァン・デア・コークは、このブログで頻繁に引用している身体はトラウマを記録するーー脳・心・体のつながりと回復のための手法の中で、ある本のことを「私にとって最も重要な本」と呼んで紹介しています。 ダマシオは一連の見事な科学論文や書物の中で、体の状態と情動と生存との間の関係を明らかにした。 神経科医として、さまざまな種類の脳の損傷を負った患者を何百人と治療してきたダマシオは、意識や、自分が何を感じているかを知るのに必要な脳領域の確認に強い関心を抱くようになった。 彼は、私たちの「自己」の経験を司るものを精密に記すことに自分の職業人生を捧げた。 彼の著書のうち、『無意識の脳 自己意識の脳ー身体と情動と感情の神秘』は私にとって最も重要な本で、それを読んだときには目を開かれる思いだった。(p155) アイオワ大学メディカル・センター神経学部のアントニオ・R・ダマ
これは私の知人である施設ケアマネージャーのお話である。 寝たきりになりかけていた施設入居者のSさん そのSさんは今、元気を取り戻し自宅に帰ろうとしていた。 Sさんと妻はうれしそうな顔で、二泊三日で外泊することを決めたようだ。 病院から「口からは決して食べてはいけない」と言われており、胃瘻増設しているSさん。 家に帰ったときくらいは「こっそりと食べさせるのです」と妻は申し訳なさそうに、しかし嬉しそうに言った。 ・・・でもね、食べさせても口に含んで2,3回チュッチュと吸って吐き出すのです、自分でも無理だってわかっているのですね(と妻)。それでも口に味を感じられてとても嬉しそう。「これ息子に見つかると怒られるのですけどね」妻もまた微笑んでいた。 Sさんが元気になった理由、それはあるケアマネが導き出したケアプランだった。 病気は心臓病、右脳梗塞、嚥下障害・・胃瘻造設 特別養護老人ホームに入所し、長
「もうダメだ」そう思った。特別派手に転んだわけではないけれど、久しぶりの転倒に動転した。転がるように倒れ、気付けば目の前には地面があった。 「あ、転んだのか」そう実感するまでに間があった。自分の状態を確認する前に自分が今どこにいるのかが気になった。顔をあげてみると、ずっと遠くに光り輝く場所が見えた。それまでの道も所々でキラキラした光が溢れている。 ふと人の気配を感じて視線を動かす。彼だった、と思う。顔が、体の輪郭が、全体にぼんやりしていてハッキリとはわからない。起き上がらせてくれるのだろうか、やや屈んで手を差し伸べている。私がその手を取ろうか迷っていると、彼はまた歩き出した。 いつもそうだ、と後姿を見ながら思った。彼は手を貸そうとしてはくれるけれど、それが下手くそなのだ。「大丈夫?どうしたの?」と言って手を差し出してはくれるけれど、その手に捕まることがどうも出来ないのだ。手に手を重ねればい
ロビン・ダンバー『ことばの起源:猿の毛づくろい、人のゴシップ』松浦俊輔, 服部清美訳, 青土社, 1998. 人間の言語は猿の毛づくろいの延長で誕生したと訴える書籍。著者は英国で霊長類の行動研究を専門とする学者で、ダニエル・ネトル(参照1/2)の師匠のようだ。すでに高い評価を受けている本書だが、言葉の起源説についての評価よりも、コミュニケーションが円滑に進む組織規模は150人程度であるという主張をおこなった本としての方が著名だろう(その影響が見られるベストセラーとしては1)がある)。 内容は一般向けではあるが、論証はかなり複雑で分かりやすいとはいえない。一つ目の主張は、霊長類の群れの規模が脳の大きさに比例するということ。他の個体を識別して、群れの中での同盟・敵対関係を把握できる群れの最適規模というのがあるというのだが、それは種の大脳新皮質の大きさに依存するらしい。それが小さければメンバー数
ブーバ/キキ効果(ブーバ キキこうか、Bouba/kiki effect)とは心理学で、言語音と図形の視覚的印象との連想について一般的に見られる関係をいう。心理学者ヴォルフガング・ケーラーが1929年に初めて報告し、命名はV.S.ラマチャンドランによる[1]。 テストに使われる図形の例。この図を被験者に示して、どちらがブーバで、どちらがキキかを聞くと、大多数の人間が「左の図形がキキで、右の図形がブーバだ」と答える。 それぞれ丸い曲線とギザギザの直線とからなる2つの図形を被験者に見せる。どちらか一方の名がブーバで、他方の名がキキであるといい、どちらがどの名だと思うかを聞く。すると、98%ほどの大多数の人は「曲線図形がブーバで、ギザギザ図形がキキだ」と答える[2]。しかもこの結果は被験者の母語にはほとんど関係がなく、また大人と幼児でもほとんど変わらないとされる。このブーバ/キキの対比は一般には
Correction Appended They are eerie sensations, more common than one might think: A man describes feeling a shadowy figure standing behind him, then turning around to find no one there. A woman feels herself leaving her body and floating in space, looking down on her corporeal self. Such experiences are often attributed by those who have them to paranormal forces. But according to recent work by ne
今月上旬に開かれた音楽・映画・ITの祭典「SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)」のインタラクティブ・セッションで、多くのジャグラー(もともとは複数の物体を次々と放り上げ操る曲芸師)にとって重要なテーマである「複数作業の同時遂行」に関する討論会の進行役を務めた。 「Your Brain on Multitasking」(複数作業同時遂行時の脳)と題するこのセッションでは、複数の作業をほぼ同時に行うことに意識や肉体がどのように反応するかについて議論した。パネリストたちは複数作業の同時遂行を最小限にとどめ、必要な場合には複数作業の同時遂行をもっとうまく行うのに役立ついくつかの解決策について話し合った。この討論会には、ミシガン大学の認知心理学者、デービッド・メイヤー氏、カリフォルニア大学サンフランシスコ校の神経科学者、アダム・ガザリー氏および、時間管理に関する書籍「18 Minutes: Fi
4月22 瞑想は脳を守る、脳の容積が増える カテゴリ:双極性障害瞑想 前回のブログで、双極性障害の自己管理で病相後における機能の低下を防ぐには瞑想が良いと述べたが、瞑想の様々な効果はこれまでに多くの学者によって確認され報告されているのであった。 これまでの瞑想の脳への効果を要約すると、感情や気分のコントロール能力の向上、免疫機能の調整、抗酸化活性を高める、ストレス誘発コルチゾールの分泌を減らす、ストレスなどの脳への刺激に対してにバランスが取れた応答が可能になる、ストレスレベルの低下、ストレスの解消、肯定的な感情や高次の感情を育む、神経回路網を強化する、認知予備能力や認知機能を高める、注意力や集中力が高まる、瞑想をマスターした人の脳波所見では前頭部のθ波が増す(=リラクゼーションの状態にある)、PTSDの症状を緩和させる、など、様々なすばらしい効果が報告されている。瞑想にてADHDの症状まで
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