■「他者」のまなざし、辛口で 14年になる米国暮らしで触れた流行語を切り口に、「日本で知られていないアメリカ」をつづったエッセー集を出した。週刊文春に「言霊USA」の題で2009年から連載するコラムのうち、今年8月までの146本を加筆修正して収めた。 「マニアックにならないよう、やじ馬的な感覚で書いています」。たとえば「adorkable」(アドーカブル=ダサかわいい)な主人公をウリにしたテレビドラマの話。ネタ探しに、学校ではやっていることを娘に聞く。入り口は卑近で背景を丁寧に掘り下げるので、彼我の違いがわかりやすい。米国に住む「他者」の視点を貫いている。 映画評論家にしてコラムニスト。移住のきっかけは、妻が米国企業に就職したことだった。痛感するのは「一歩間違うとのたれ死ぬ怖さ」。民間医療保険への加入はぜんそくを理由に断られ、妻の勤務先と契約する保険に入ったが、仮に妻が失業すれば無保険にな