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ブックマーク / yshigeru.blogspot.com (4)

  • 若いエンジニアへ

    エンジニアなら誰でも突貫工事に喜びを見出した経験がある。深夜2時の夜を共にした同僚のことは、その職業人生を通じて忘れることはない。しかし、そこにいかなるドラマがあろうとも、突貫工事は例外である。これを常態としてはならない。 メーカーの組込みプログラマとしてエンジニアのキャリアをスタートした私は、「よい製品はよいプロセスから生まれる」ことを頭に叩きこまれた。素晴らしい製品を生み出す工場は静かである。常に誰かが大声で叫んでいるような工場には明らかにプロセス上の問題が認められ、素晴らしい製品を生むことは決してない。 物のエンジニアは突貫工事を好まない。突貫工事とはプロセス上の誤りであり、つまり誰かが大声で叫ばなければならないということだからである。エンジニア仕事は計画され、コントロールされたものでなければならない。 長時間労働によって成果を生み出そうとすることも、やはり例外としなければなら

  • 忍び寄る全体主義

    私が三菱電機を辞めた理由のひとつは、組織のもつ全体主義的傾向を嫌ってのことだった。全体主義とは、皆が同じ考えをもつことではない。そんなことは不可能だ。全体主義とは、皆が同じ考えをもつことを強制することである。従って、全体主義のもとでは、人は皆と同じ考えを持っているふりをするようになる。 ひとつ象徴的な例がある。私のいた事業所では、改善活動が行われていた。いわゆる「カイゼン」活動である。製造業なら、どこでもやっていると思う。職員全員について、改善のノルマが課せられていた。技術者も、事務職員も、現場の職人も例外は認められない。通常は1月に1件以上だった。 どういうわけか、改善の効果は、節約時間によって計られることになっていた。そして、年度ごとにトータルの節約時間が定められ、各セクションにその時間が割り当てられた。この時間は最低の基準とされた。 誰の目から見ても、この改善活動は馬鹿げていた。一人

  • 技術者の倫理

    ミラクル・リナックスに入社して1ヶ月経った。3月からまた新しい人(NetBSDハッカー!!)が入ったので、昨日は歓迎会だった。つまりは飲み会なのだけれども、ミラクルの人たちと話していてひとつ驚いたことがある。彼らは、会社の飲み会で技術の話をするのだ。往年の親指シフトから、最新の(?)GNU Hurdまでが話題に上がった。 技術者には個性というものがある。強みである。もちろん、弱みともなりうる。前職の三菱電機では、マネジメント上の最大の焦点とされたものに、技術者の個性の無効化がる。無効化という言葉が過激すぎるなら、均質化と言い換えてもよい。逆に、ちょっと過激な言葉を使うならば、前職のマネジャーたちは、技術者を交換可能な標準化された部品とみなした。 天才的技術者がいたとする。すべての製品を彼の天才に頼っていたとする。ある朝、彼が交通事故に遭うようなことがあれば、直ちに事業は破綻する(スーパーコ

    suginoy
    suginoy 2012/03/11
    「ミラクルの人たちと話していてひとつ驚いたことがある。彼らは、会社の飲み会で技術の話をするのだ。」
  • 三菱を去る日

    1月いっぱいで三菱電機を退職した。新卒で入社してから、この4月で丸6年になるところだった。実は、退職にあたってのエントリを、同じタイトルで前々から用意していた。三菱の官僚主義に辟易していた私は、三菱のやり方について、そのエントリでこき下ろす予定だった。だが、気が変わった。 最後の出勤が終わったあと、6年間住んだ独身寮へ行った。部屋の鍵を返すためだ。まだ部屋に置いたままになっていたゴミを処分し、掃除機をかけた。そして、鍵を返すために管理人室へ行った。管理人さんは、なぜかいつも私をフルネームで呼ぶ。私は鍵を返し、簡単にお礼を述べた。管理人さんも何か言った。 瞬間、私は、目から涙が出そうになっていることに気づいた。私は慌てて管理人室をあとにし、駅へと向かった。管理人さんが何を言ったのか、正確には覚えていない。しかし、励ましの言葉だったのは確かだ。 管理人さんのその言葉は、私の頭脳で解釈される前に

    suginoy
    suginoy 2012/02/01
    「しかし、ひとつだけ素晴らしいことに、私がどんなに苦しい時でも、私のそばには常に誰かがついていてくれた。」「私が見逃していたことに、その官僚主義の中にいる人々は皆善人だった。」
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