各地で厳しい暑さが続き、夜でも25度を下回らない「熱帯夜」になる日も増えている。熱中症にならなくても、暑くてなかなか寝付けない、眠りが浅いという人も少なくないだろう。東京大などの研究チームの分析によると、日本の都市部ではこの暑さによる睡眠障害の被害は、熱中症に匹敵する可能性があるのだという。 熱中症の場合、救急搬送者数や死者数などから、比較的社会全体での影響を把握しやすいが、睡眠障害の影響は認識しにくい。チームは睡眠障害と熱中症の影響を比較するために、死亡や病気などによる損失を年数に換算して比較できる指標「障害調整生存年」を活用した。この指標は、重症度が0・3の病気や障害が10年間続くと「3年の損失」などと算出する。睡眠障害の重症度は0・1で、合併症のない糖尿病などと同等という。 分析にあたり、世界的に採用されている1カ月間の睡眠の質を評価するための質問票を1日ずつ評価できるものに改良。2