「我々の世界では『納品先ごとに業務あり』と言うんですよ」。ある部品メーカーのシステム部長と雑談していて、こんな話になった。何のことか意味がよく分からなかったので、聞いてみると、日本企業特有の深刻、かつ根深い問題にまつわる話だった。 部品メーカーは取引先の要求に従って、部品を製造し納めているわけだが、要求は納品先ごとに違う。部品の精度から納品方法、データのやり取りなど事細かに異なる。そのため、納品先の数だけ異なる業務プロセスがあり、情報システムも対応せざるを得ないから複雑なものになる。 ここまでの話だと、小売り・流通でよく聞く話と同じように思える。メーカー側の力が強かったころには、弱小の小売りは、メーカーごとに指定の発注端末を持たされて、大きな負担となった。小売りの力が強くなった今では、メーカーのほうが納品のやり方などを、小売り各社の個々の要求に対応せざるを得なくなっている。完成品メーカーと
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