温度差が小さな場合でも、大きな熱量を素早く移送することができて、しかも動力源を必要とせず、長寿命という特徴を持つヒートパイプは、放熱しにくい場所で発生した熱をほかの場所に伝えることができるため、小型化/高密度化が進む電子機器の熱対策として利用が広がっています。ヒートパイプの歴史、構造、動作原理、特徴の詳細について紹介します。 ヒートパイプは、液体が気体になるときに吸収、または気体が液体になるときに放出する熱エネルギー(潜熱)を利用して、ある場所の熱を離れた別の場所に高速で伝えることができる部品です。金属で作られた管(パイプ)の中に液体(作動液)が封入されており、動力なしに動作し、長寿命です。一般的に、熱を伝える部品や装置では、伝える場所の温度差が小さいと効率が下がりますが、ヒートパイプは温度差が小さい条件でも動作します。熱伝導率(熱の伝えやすさ)は、高い熱伝導率で知られる銅や銀の数倍~数十