→紀伊國屋書店で購入 「病の物語への視座」 初めて読んだときは、何のことを言っているのか分からなかったけど、読み返してみるにつれてピン!と来た――こんな経験は誰しも持っているでしょう。本を読む醍醐味ですよね。 私にとって、そんな経験を与えてくれた重要な本がこの一冊です。 この本を理解するには、「回復の物語(the restitution narrative)」が鍵概念となります。この「回復(restitution)」という言葉は、私たちが日常的に使う「回復」よりも限定された意味で用いられるので、注意が必要です。この物語は、「昨日私は健康であった。今日私は病気である。しかし明日には再び健康になるであろう」という基本的な筋書きを有する、とされています(p.114)。さらに説明を加えますと、 (1)中間部をなす「病気」の状態は、あくまでも一時的な中断ないし脱線として描かれる。 (2)物語の結末が
![『傷ついた物語の語り手――身体・病い・倫理――』アーサー・W・フランク(鈴木智之訳)(ゆみる出版) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/41047f58da2a8dfde6896dca0eb861cf5c634d5e/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fcdn-ak.f.st-hatena.com%2Fimages%2Ffotolife%2FK%2FKinokuniya%2F20180502%2F20180502192853.jpg)