今月15日、映画監督の大島渚が亡くなった。エキレビではこれまでにも何人かの著名人の足跡を、作品などを通して紹介してきたが、さて、大島渚という人物はどんなふうにとりあげるのがふさわしいのだろう。 映画監督なのだから、当然その監督作品を紹介するのがまっとうなのかもしれない。だが、大島の作品は解説などを読む前に、実際に観て「何じゃこりゃ!?」と驚くのがいちばんという気もする。そもそも下手に要約すると、すっぽり抜け落ちてしまいそうなことが大島作品には多すぎる。 そこでこの記事では、作品そのものの紹介というより、作品をめぐって起こった事件をいくつかとりあげることで、大島の映画監督としての軌跡をたどってみたい。 ■「日本の夜と霧」突然の上映打ち切り、直後の結婚式では… 大島渚は1954年に京都大学を卒業後、松竹に入社している。当時の映画会社の撮影所では、完全な徒弟制がとられ、たとえ東大や京大出でも助監