つい最近、東北大学の2022年度採用情報が発表され、ネットの中で(主に理系研究者の間で)衝撃が走った。工学系の教授クラスを一度に5人採用という公募で、研究ポストがなくて困窮している若手の研究者にとって、将来に希望の持てる話。しかしそれは「女性限定」だった。 イノベーションの鍵は「セレンディピティー(幸運な偶然の出会い)」だ。多様な属性の人が出会うことが、新たな発想を生むという経験則。研究の世界もできるだけ多様な人が出会える環境が望ましい。その考え方でいうと、半分が男性なら半分は女性というのが理想だ。この採用はそれを目指したのだろう。 理系で女性研究者は少ない。それはロールモデルが社会で確立していないからだ。ならば、まず「出口」の方の女性のポストを社会的に確立し、そこから女子の研究者志望が増えるという「入り口」側の変化を期待しよう――これはアファーマティブ・アクション(積極的差別是正措置)と