ロシアがウクライナに侵攻してから約1年がたつ。首都キーウ(キエフ)は「数時間で陥落する」との当初の見立て反して落ちず、戦争は収束する様子がない。それはなぜか。ロシアの軍事戦略に詳しい小泉悠・東京大学先端科学技術研究センター専任講師は、ロシア軍が抱える「ゆがみ」を理由の1つに挙げる。 (聞き手:森 永輔) ロシアがウクライナに侵攻してから約1年がたちます。侵攻が始まった当初、ウクライナの首都キーウは「数時間で陥落する」という見立てが盛んに報道されましたが、ウクライナは1年間、ロシアと互角に戦ってきました。これは「ロシアが弱かった」と評価すべきでしょうか、それとも「ウクライナ」が強かったのか。 どちらに評価するかによって、得られる教訓が異なるのではないでしょうか。前者なら、国際社会においてロシアが持つ影響力が今後減退していく可能性が考えられます。他方、後者なら、政治指導者のありようや国民の士気