かつて“戦う男たちの最高峰”にあった海軍大将・山本五十六元帥は、後世の男たちに格言を遺した。 苦しいこともあるだろう 言いたいこともあるだろう 不満なこともあるだろう 腹の立つこともあるだろう 泣きたいこともあるだろう これらをじっとこらえてゆくのが 男の修行である 堂々と胸を張れず、謝らざるを得ない相撲。 大阪場所千秋楽。 観客が背を向けるように席を立ち、熱気が急速に冷めていった館内の中央に、白鵬がいた。ブーイングと拍手の入り交じるなか、優勝力士インタビューを受けると、「そんなにまでして勝ちたいか!」などと辛辣なヤジが四方から飛ぶ。 「ああいう変化で決まるとは思わなかった。本当に申し訳ないと思います……」 4場所ぶりに賜杯を胸にした白鵬は、異様な雰囲気に気圧されるかのように言葉に詰まり、こらえられずに溢れる涙をぬぐっていた。 「まあ、大阪じゃなかったら、あそこまでヤジもひどくなかったやろ
![白鵬が浴びた大阪のシビアなヤジ。「銭の取れる相撲」に値しない千秋楽。(佐藤祥子)](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/d36d6ff2858393c4208ab8ca219e5ce71b20fc08/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fnumber.ismcdn.jp%2Fmwimgs%2F6%2Fc%2F-%2Fimg_6c3ebb01c2b028aa0bcb3600d56d0d3598695.jpg)