停滞からの脱出法は人それぞれだ。 なんべん書き直してみせたところで出来上がるのはつまらぬ文章、まるで実感の籠もらぬ表現。記事作製が遅々として進まぬ窮地に陥り、自己嫌悪が募ってくると、私はいっそ腰を上げ、モニタを離れて部屋の中をぐるぐる歩きまわるようにしている。 ゲーテに範を取ったやり方だ。 左様、ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ。 (Wikipediaより、ローマ近郊に於けるゲーテの肖像) ドイツを代表するかの文豪は、あるとき日記にこう書きつけた。曰く、「最上の考えの浮かんでくるのは、大抵散歩しているときである、表現のしかたでさえ、いい考えは歩いているとき浮かんでくる」と。 なるほど確かに直立二足歩行とは、人類だけがこれを能くする運動だ。言語をあやつる能力もまた、人間のみに許された――少なくとも、現段階の地球上では――大特権。 同じ「特別」であるのなら、どこかで繋がっていてもおかしく