ブックマーク / saga135.hatenablog.jp (169)

  • 早熟の翳  八話 - 人生は花鳥風月

    一行は高校生活最後の夏を十二分に満喫していた。真っ赤な夕陽は優しくも烈しく、彼等のこれからの人生に声援を贈るかのように力強く照り輝く。各々はその翳を踏みながらも意気揚々とした面持ちで帰途に着いた。 健太は初めて出来た彼女といちゃつきながら歩いている。 「俺、二人で帰るから、みんなは先に行っててよ」 「はいよ~」 今では健太もすっかりヤンキーの仲間入りでもしたような心持で、彼女が出来た影響もあってか何時になく陽気であった。 修二は清政と二人で、誠也はまり子と家に帰った。 家に着くと二人は真っ先にシャワーを浴びた。そして当たり前のように誠也の部屋に入る。誠也もまり子も少し小麦色に日焼けした肌が実に若々しく映える。誠也は取り合えず冷蔵庫から缶チューハイを持って上がった。 「乾杯!」 「あー美味しい、今日は楽しかったね、健太君おおはしゃぎしてたわね」 「あぁ」 「何か悩んでるの? さっきからちょっ

    早熟の翳  八話 - 人生は花鳥風月
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    suoaei 2021/04/17
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  • 雨がテーマの曲 - 人生は花鳥風月

    窓外に  愁い漂う  菜種梅雨 いくら菜種梅雨とはいえ雨はやはり陶しいものですね。たまにならともかく最近は雨が多いです。 とはいえこの雨に依って我々の生活も充たされている訳で、元来雨は「天の恵み」とも言われ昔は雨乞いも行われていました。そう思えば雨に対して文句を言うのは筋が通らないし、それも一興これも一興で正に「花鳥風月」だと思います。 という事でこの「雨」がテーマになっている自分が好きな曲でも紹介してみたいと思います ♪ 4位ーLONELY ROSE <尾崎豊> 少し甘さを漂わせるような曲調が雨とマッチングしていて絶妙なハーモニーを醸し出しています。自分が好きな尾崎の曲でもベスト10にでもあります。 男女の愛をとことん追及した詞は如何にも尾崎らしくていいですよね~。 リンク 3位ー最後の雨 <中西保志> 定番ですけど雨といえばこの曲という感じもします。カラオケでも意外と難しいんですよね

    雨がテーマの曲 - 人生は花鳥風月
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    suoaei 2021/04/17
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  • 早熟の翳  七話 - 人生は花鳥風月

    決戦の刻(とき)は来た。それはGW開け、夕方の港の岸壁であった。 久から段取りを訊かされていた神原は一人で来ていた。その場には誠也と神原、安藤久の三人だけの姿が夕陽に照らされ静かに佇んでいる。 改めて誠也は神原に訊く。 「お前、当にこの勝負の趣旨が分かってんだろうな?」 「ああ、分かってるよ」 「言ってみろよ」 「一々言わせんなよ」 神原は相変わらずいけ好かない表情をしていた。 「いいから、声に出して言えって!」 「負けた方は絶体に逆らわないんだろ!」 「それと!?」 「ケジメつける事か?」 「ああ」 「わざわざ安藤さんまで招(よ)んで来るとは周到だな」 「それだけお前らが信用出来ないって事だよ」 「ふっ」 誠也はまだ神原を信用し切っていなかった。だが久さんまでもが来てくれている以上、やるしかない。誠也は深く深呼吸をした。 そして誠也が水平線の彼方に聳える今にも沈まんとする太陽を目を細め

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    suoaei 2021/04/16
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  • 極道の妻たち 三代目姐 - 人生は花鳥風月

    極道のたち 三代目姐 三代目姐は当に赤松の事を愛していたのか!? 真意は如何に!? ここが最大のポイントとは思いますけど。 極シリーズで自分が一番好きな「極道のたち 三代目姐」のレビューです。 あらすじ 坂西組の三代目組長、坂西武雄は病床に伏していた。の葉月が一万五千人余の組員を抱えて切り盛りしていたのだが、組長代行の舎弟頭、寺田は組の企業化を進めて四代目を狙っている。 そんな或る日若頭補佐、赤松が出所して来る。武闘派極道の赤松と組織の近代化を図る寺田、それを操る三代目姐の思惑。 この三者の争いは不可避なのか。虚々実々の戦いの先にあるものは。 キャスト 三田佳子:坂西葉月(三代目姐) 丹波哲郎:坂西武雄 かたせ梨乃:野方操 坂上忍:荒木太 小西博之:明神孝弘 財前直見:花井美里 浜田晃:木曽忠久 綿引勝彦:阿波隆行 西川峰子:阿波友見 成田三樹夫:寺田竜吉 萩原健一:赤松徹郎 見

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    suoaei 2021/04/16
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  • 早熟の翳  六話 - 人生は花鳥風月

    誠也は3年生になった。まだ少し寒さの残る4月上旬、冷ややかな春風は厳しい冬風とは違い、生きとし生ける者全てに優しく吹きかかる。その優しさに依って柔らかく解された心は小気味よく芽生え清々しい眼差しで天を仰ぐ。蒼天には幾多のおぼろ雲が連なりその隙間から差し込む光芒は地上を暖かく照らしていた。 誠也はこの蒼天に誓った。志を遂げると。 裏社会の事情通である清政は早速大ニュースを持って来た。 「誠也、いよいよ神原が出て来るようだぞ」 「何時だ?」 「4月下旬らしい」 「早かったな」 「ああ、勿論仮釈放だろうけどな」 誠也の腹は決まっていた。神原を叩きのめす、それ以外には無かった。 「で、どうすんだよ、やっぱりあのお方に間に入って貰うのか?」 「ああ、それしかねーな」 「じゃあ早速繋ぎ入れるか」 「まあ焦るなって、今こそ正念場なんだ、お前は若い奴等が先走らないようしっかり見張っとけよ」 「そうだな、分

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    suoaei 2021/04/15
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  • コロナを吹っ飛ばす ! - 人生は花鳥風月

    道行けば   何処かに潜む   コロナかな またまたコロナが猛威を振るい出したみたいで当に嫌になって来ます。地元兵庫も500人超えとか 😱 一体どないなっとんどいやって話ですね。 コロナ感染拡大の原因にも様々あると思われるので一概には言えませんが、やはり気の弛みが齎す影響が多いのではないでしょうか。実際先月まではほぼ収まっていましたしね。通勤は仕方ないとしても不要な外出、特に飲みに行く事は自重した方が良いと思います。 その中でも最たるは酔っぱらってバカ騒ぎしている連中ですよね。自分の周りにも飲み屋が多いので週末にはそんな光景をよく目にします。 片っ端からシバき上げたろかとも思いますが、逆にやられるのは分かっているので、年も年ですし今更そんなアホな事はしませんけど(笑) 行儀良く控えめにするのなら少々は飲みに行っても良いとも思いますが、それが出来ないのなら家に引き篭っとけって話ですよね。

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    suoaei 2021/04/15
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  • 早熟の翳  五話 - 人生は花鳥風月

    年は明け早や3学期が始まる。今年の正月も例年同様呆気なく過ぎたのだが、誠也が初詣でお祈りした事は二つあった。一つは己が志を遂げる事と、もう一つはまり子と生涯を添い遂げる事。普段はこんな願掛けなど一切しない誠也ではあったが、今年に限ってそれをしたという辺り、やはり今の誠也の心境に只ならぬ切迫感があったのであろう。いくら百戦錬磨の誠也でも神の力を借りたくなったのは差ほど不思議でもない。 正月が終わってからの1月から3月、つまり春までは大した行事もなく退屈で仕方ない。誠也は来たるべく決戦に備えボクシングの練習に熱中していた。 好きこそ物の上手なれとは言ったもので、誠也の技にはまた一段と磨きが掛かりもはや学校の部活動などでは相手になる者は一人もいなかった。 身を持て余した誠也は顧問の先生に進言し一般のボクシングジムで合同練習する了承を得る。今回は特別だった。先生は他でもない誠也の頼みとその気迫に押

    早熟の翳  五話 - 人生は花鳥風月
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    suoaei 2021/04/14
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  • 続・北斗の拳の矛盾点 2 - 人生は花鳥風月

    北斗の拳 Vol.16 リュウガは薄情者? ユリアの実の兄天狼星リュウガ。このリュウガもラオウと一緒でユリアの事をどう思っていたんだ? という話です。 ユリアの実兄でありながら妹がシンに囚われていた時、何をしてたんだ? と言いたいですね。ラオウと同じように傍観してたのか? ラオウの場合はケンシロウの力を試していたという憶測も一応は出来ますが、このリュウガは実の妹の危機を放置しています。これはジュウザにも言える事ですが、どう考えてもおかしいですね。 それでいながらユリアとシンの墓前に現れた時、墓守をしていたサキに対し 「その墓を何時までも守ってくれ」などと白々しい事を抜かしているんですよね~ 😕 そしてアホの一つ覚えで「乱世には巨木が必要だ」と連呼しています。でもやっている事は負けるのが分かっていながらケンシロウに無謀な闘いを挑む事と、もはや闘う事すら出来なくなった衰弱し切ったトキを虐めた

    続・北斗の拳の矛盾点 2 - 人生は花鳥風月
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    suoaei 2021/04/14
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  • 早熟の翳  四話 - 人生は花鳥風月

    y地区の連中と冷戦状態になっている間は波風が立つ事もなく、誠也達は充実した高校生活を送っていた。秋ともなれば運動会に文化祭など様々なイベントがあり、溢れんばかりの若さでそれに挑む生徒達の姿は正に青春を謳歌するものであった。 だが全てが順風満帆に運んでいる訳でもなく学校内にもちょっとした事件が起きていた。それを発見したのは他でもない誠也自身であった。 この日部活動が休みだった誠也は校門を出た直ぐの所で、一人の少年が5、6人の男子生徒に囲まれているのを目にする。この時点で誠也はカツアゲだと察したが、自分が駆け付けると逃げられる事が分かっていたので、敢えて少し離れた気の影から見ていた。 「金持って来たのか? 早く出せよコラ!」 「それが出来なかったんです」 「何だとコラ! 舐めてんのか!」 「どうしても無理なんです、勘弁して下さい」 「じゃあ仕方ねーな~」 その男が1発放つ刹那、誠也は石ころを投

    早熟の翳  四話 - 人生は花鳥風月
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    suoaei 2021/04/13
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  • 風がテーマの曲 - 人生は花鳥風月

    冷ややかな   心和ます   春風よ (笑) 朝起きたら洗濯物と一緒に干してあった袋が風に吹かれて音を立てていました。ベランダに出るとそこそこの風量でしたね。今は収まったみたいですけど。袋の音は結構うるさいので以後気をつけたいと思います 😅 空は薄曇りでまだ少し冷たい風には正に三寒四温を感じますが、冬の強い風とは違い何か心を和ませてくれるような気もします。 という事でこの「風」がテーマになっている自分の好きな曲を挙げてみたいと思います。 5位ー風の中の火のように <KAI FIVE> 甲斐さんカッコいいですね。特に詩がいいですよね。強い風にも負けず絶えず心の火を灯し続けていなければいけない。正にその通りだと思いますね。力強く生きて行こうとする志を感じます。 www.youtube.com リンク 4位ー風を見たか <吉田拓郎> 吉田拓郎さんの声がいいですよね。全く飾り気のない澄んだ歌声は

    風がテーマの曲 - 人生は花鳥風月
    suoaei
    suoaei 2021/04/13
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  • 早熟の翳  三話 - 人生は花鳥風月

    今回の件は当然誠也の耳にも届いていた。修二は心配を掛けまいと黙っていたのだが蛇の道は蛇、アウトロー同士の事情などは容易く入って来る。誠也率いる陸奥守では緊急に対策が練られる。 ある者は全面戦争と言い、或る者は手打ちだと言う。暫く黙っていた誠也は静かに口を切り出した。 「今の時代に全面戦争なんか出来る訳がない、俺が一人でカタをつける」 と。勿論この考え方はカッコをつけている訳でもなく、長い歴史の中で一度も耐える事の無かったy地区との抗争。これに自分の代で終止符を着けたかったのだった。 「総長のお気持ちは分かりますけど無茶ですよ、あいつら相手に話し合いなんか全く意味ないです、いくら総長でも危険過ぎます!」 「いや、一つだけ手があるんだ」 「どんな手ですか?」 「それはまだ言えない、とにかくこっちからは絶体に手を出すな、分かったな!」 「はい」 誠也の腹を括った表情に皆は何も言い返す事が出来なか

    早熟の翳  三話 - 人生は花鳥風月
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    suoaei 2021/04/12
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  • 豆腐は美味しい - 人生は花鳥風月

    おはようございます。毎月12日と10月2日は「豆腐の日」らしいですね。という事で自分も大好きな豆腐の話でもしてみたいと思います。 自分の好きな豆腐製品ベスト3 3位ー冷ややっこ これは定番ですよね。酒のあては勿論、おかずにもなるし、おやつにもなります。特に絹ごしのあの滑らかな舌触りが最高なんですよね~、至福の時ですね  😊 でも最近はスーパーでも豆腐屋でも当に滑らかな絹ごしがあまり見当たらないのは自分の錯覚でしょうか、特にスーパーに置いてある商品の中には「絹ごし」と書いていながら断面が結構固い、木綿じゃないの? と思うようなものもあります 😦 選ぶのもなかなか難しい話ですけど、冷ややっこは美味しいですね~^^ リンク 2位ー玉子豆腐 これもいいですね。冷ややっこに勝るとも劣らない美味しさです。 でも玉子豆腐って豆腐は使っていないんですよね。茶碗蒸し同様、玉子のタンパク質が加熱で固まる

    豆腐は美味しい - 人生は花鳥風月
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    suoaei 2021/04/12
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  • 早熟の翳  二話 - 人生は花鳥風月

    小学生からの付き合いであった誠也、修二、清政の三人は固い絆で結ばれていた。特に中学時代にはy地区の奴等が50人規模の徒党を組み学校に攻めて来たが、大半は警察に依って捌かれたとはいえ、三人は最後まで身体を張って戦い抜き、一歩たりとも後に退かない勇敢さは世代を超えて称賛され、彼等は一躍英雄になっていたのだった。 この三人の絆は大袈裟に言えば三国志の劉備、関羽、張飛の桃園の誓いのようなもので、生まれた場所は違えども死ぬ時は三人一緒と言わんばかりの魂の契りであったのかもしれない。 誠也と清政は同じ高校に進学し、特攻隊長である修二は中学を卒業して直ぐに鳶職をしていた。 この日学校の授業を終えた誠也は部活動で汗を流した後、久しぶりにまり子と一緒に街へ遊びに出ていた。このまり子も三人と同様小学生からの付き合いで、美しくも可愛らしい顔立ちに愛嬌のある佇まいは周りを明るい雰囲気にさせる。それでいて何処か切な

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    suoaei 2021/04/11
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  • メーテルについて - 人生は花鳥風月

    今日4月11日はメートル法公布記念日なんですよね。1921(大正10)年、改正度量衡法が公布され、法律でメートル法を採用することが定められた。とあります。 それがどないしたんや? と言ったのではお話になりません。それ以前の日は寸、尺、間で表現されていたのでしょう。大工さんは今でもこの単位を用いていますよね。 そしてメートルはメーテルに通じる(なんでやねん!?) という事で美女メーテルについての想いを綴ってみたいと思います。 さよなら銀河鉄道999-アンドロメダ終着駅- メーテルとは 松零士作の漫画及びアニメ「銀河鉄道999」などの作品に登場する架空の人物で、星野鉄郎を銀河超特急999号での旅へと導き、共に旅をする謎の美女。 母親は、機械帝国の女王プロメシューム。父親は、反機械化世界を目指している ドクター・バン。母プロメシュームの命により「機械化惑星を強化する部品とすべく、鉄郎を始めと

    メーテルについて - 人生は花鳥風月
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    suoaei 2021/04/11
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  • 早熟の翳  一話 - 人生は花鳥風月

    土曜の夜は祭りである。誠也はこの日も週末恒例の集会に出ていた。 「ブンブンブンブン! ブンブンブンブン!」 直管マフラーの爆音は周囲一帯を威嚇するように轟く。誠也率いる『陸奥守(むつのかみ)』という暴走族の一団は夏の暑さを吹っ飛ばすようにして、夜の国道を何処までも疾走していた。 風を斬りながら走る彼等の姿はその爆音を除けば見ているだけでも痛快で、道々には大声を出し声援を送る野次馬達が溢れていた。平成初期、族のファッションといえば特攻服は無論の事、ペタにノーヘルで信号を守る者など全くいない。昭和時代との違いがあるとすれば、鉢巻きや旗を掲げていなかった事ぐらいであろうが、あくまでも硬派を通していた事だけは一貫していた。 約1時間程走り続けているとパトカーが追いかけて来るのがバックミラーに映る。だが彼等にはパトカーの数台を巻く事などは朝飯前で、取り合えずケツ持ち(最後尾に構え追手が来た場合、蛇

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    suoaei 2021/04/10
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  • 続・北斗の拳の矛盾点 - 人生は花鳥風月

    劇場版 北斗の拳 前回で一旦終わった企画なのですが、やはりまだまだあるんですよね~。 しつこいようで恐縮ですが、ファンであるが故の苦悩みたいなものでどうしても気が済まないので、また新たに始めて行きたいと思います^^ ラオウは当にユリアを愛していたのか!? 南斗六星拳最後の将、慈母星の宿命(さだめ)を背負いしユリア。彼女はこの物語最強のマドンナで、万人から愛されていましたよね。ケンシロウ、シンは言うに及ばず、トキにラオウ、腹違いの兄ジュウザと。 時系列的に言うとラオウ、彼は強引にでもユリアを我が手にしたいと思っていましたが、序盤でケンシロウがシンに敗れてからユリアがシンの手に堕ちた頃はどうしていたんでしょうね? 特にアニメ版はケンシロウがシンを倒すまでが長いです。その間ラオウは指と咥えてじーっと待っていたんっでしょうか? ラオウの力を持ってすればシンなど敵では無かった筈です。それなのに何も

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    suoaei 2021/04/10
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  • まったく皺のないTシャツ 最終章 - 人生は花鳥風月

    佳人薄命。生前の奈美子といい今回一哉が観た夢といい、美しい彼女の姿は何処か脆弱で切ない雰囲気を漂わせる。 だが奈美子は決して卑屈になる事はなく、寧ろ生き生きとした様子で常に微笑を浮かべながら一哉に語り掛ける。一言発すると少し一哉の前に進み、また一言発すると今度は後ろに退く。そんな悪ふざけをしながら一哉の周りを泳いでいるようなその姿はまるで天女のようだ。 夢から覚めた一哉は改めて奈美子の遺書とキーホルダーを握りしめた。 人の一生とは何なのだろう、一旦生まれたら人、いや生きとし生ける者全てが死に向かって歩き出す。この理屈を極端に纏めれば死ぬ為に生きているといった一つの論理も成り立つ。だがそれだけで納得する者は殆どいまい。 殊人間に於いては各々が色んな目的を持って、夢を観て、遊んで、戯れて、喜怒哀楽を重ね人生を謳歌し、その幕を閉じる。夭折した奈美子は果たして人生を謳歌出来たのであろうか、僅か三十

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    suoaei 2021/04/09
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  • まったく皺のないTシャツ 三十五章 - 人生は花鳥風月

    一哉は眼前に拡がる夥しいほどの鮮血に戦慄した。奈美子はその血の海に沈むように、ぐったりと身体を横たえている。床には包丁に割れたグラス、白い壁は真っ赤に染められ、テーブルの上には大量のコカイン。その惨状は一哉を発狂させた。 「うぉぉぉーーー! うぉぉぉーーー!」 一哉は我を忘れひたすら叫び続けた。そし包丁を手に取り自分の身体にもその刃を突きつけようとする。すると救急車やパトカーのサイレンが鳴り響き、一哉は自刃する事を諦めた。 少し話をした後、後奈美子は病院へ運ばれ一哉は警察に連行される。近隣も騒然としていた。 包丁を手にしていた一哉は当然警察でも疑われる。だが一哉は執拗な取り調べにも一切答えず、ただ呆然としていた。取り合えず一哉は警察の留置所で一晩を明かす事になった。 何も物が無い留置所の部屋は一哉を一安心させた。一人で思いにに耽っていると隣の房から男が話かけて来る。 「兄ちゃん、何したんだ

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    suoaei 2021/04/08
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  • 三島由紀夫「盗賊」を読み終えて - 人生は花鳥風月

    自分のような凡人の率直な感想としては、余りにも単純過ぎますが、明秀と清子はその生涯を添い遂げて欲しかった、少なくともあんな結末にはなって欲しくなかった、という感じですかね。 三島由紀夫の作品は悲劇が多いと思いますが、彼は何故そうまでして悲劇に拘るのでしょうか? 無論そんな事分かる訳もありません。でも面白いと。 それはただ単に意外な結末だから面白いという意味ではなく、寧ろ悲劇と分かった上で読んでいても面白いのですよね。 この辺が三島文学の神髄であって、彼が天才と呼ばれる所以であるようにも思えます。 そして悲劇とはいえ決して暗い印象はなく、登場人物はあくまでも普通の生活をしています。その一人間の奥底に眠る真意を見事に引っ張り出して来る。こんな事は歴史に名を馳せた哲学者であっても至難の業とも思いますが、彼は一冊の小説でそれを完全に描写し切っています。 三島由紀夫「盗賊」のレビューです。 あらすじ

    三島由紀夫「盗賊」を読み終えて - 人生は花鳥風月
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    suoaei 2021/04/08
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  • まったく皺のないTシャツ 三十四章 - 人生は花鳥風月

    奈美子の策は失敗に終わった。何故だ? 何故今になって一哉は覚醒したのだ? 確かにまだ一抹の不安は残っていたが事は9分通り巧く運んでいた筈だ。 窮鼠かえってを噛むとは言ったものだった。だが鼠に獅子は倒せないとも言う。そして獅子は兎を捕らえるにも全力を尽くす。奈美子は獅子に成り切れていなかったのだった。つまりは一哉を見くびり過ぎていたのだ。 奈美子がこれほど動揺したのは人生で初めてだった。これからどうすれば良いのか全く分からない。次なる策など無い。奈美子はただ呆然とし気が抜けたような、正に今までの一哉と立場は逆転してしまったのだった。 数年振りに一哉は俳優に復帰した。天を仰ぎ見る夏の向日葵は今の一哉に味方するべく勇ましく立派に咲き誇る。それに加え煩い蝉の鳴き声に燦然と輝く太陽、それら全てが一哉に追い風を吹かせるが如く烈しくも優しい優雅を漂わせる。 人間の心境とは実に奇妙なもので、母から告げら

    まったく皺のないTシャツ 三十四章 - 人生は花鳥風月
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    suoaei 2021/04/07