日本スポーツの次代を担う底辺層が揺れている。優秀な選手の養成に力が注がれる一方、少子化や指導者不足でスポーツの場は減っている。教育価値の軽視や学力低下、燃え尽き、ドロップアウトといった問題も叫ばれる。若者のスポーツはどんな針路を取るべきか。第1部は、多様化するU18(18歳以下)世代の現場に迫った。 ◇模索続ける英才教育 2年前の夏、2人の女子中学生は寮を抜け出し、新大阪から新幹線に飛び乗った。親元を離れ、大阪でバレーボールの英才教育を受けていた彼女たちは、厳しい練習や孤独な環境で心身ともに疲れ、実家に帰ろうと決意して東京へ向かった。 これに気づいた女子マネジャーから携帯電話に連絡があり、東京駅で待つよう指示された。追いかけてきたマネジャーに3時間説得され、寮に戻ったが、もやもやした気持ちはしばらく消えなかった。「『もう一回頑張ってみよう』『やっぱり無理かも』の繰り返し。学校から寮に戻れば