≪陛下、茫然自失の国民を激励≫ 3月11日の東日本大震災から1カ月半がたって、「昭和の日」がやってきた。今回の大震災は、明治以来最大規模の巨大地震、大津波、それとともに福島第1原発の炉心損傷による放射能災害という三重苦に苛(さいな)まれていて、人々はしばらくの間、「茫然(ぼうぜん)自失」の状態にあった。その中で、今上(きんじょう)陛下が3月16日に、国民に向けたビデオメッセージを発表され、また皇后陛下を伴って被災地に入られ、直接、被害者を励まされた。 私事で恐縮だが、目下シンガポールに滞在中の私の娘は、その日の電話で「こういう時になると、天皇の存在の意味が分かるね」と言ってきた。私はそれに同意したが、その後の1カ月、人々は少しずつ立ち直って、新時代への一歩を踏み出そうとしているかにみえる。そこで、本日の「昭和の日」を迎えて、私は昭和天皇の時代にも日本国民が2度にわたって、同じような「茫然自