iPS細胞(人工多能性幹細胞)でも拒絶反応が起きると、米グループが先月発表した論文について、京都大の山中伸弥教授は6日、記者会見で「実験データの解釈に問題がある」と反論した。 iPS細胞は患者自身の細胞からつくるため、臓器にして移植すれば、拒絶反応が起きないと期待されている。だが、米カリフォルニア大のグループが、マウスにiPS細胞を移植する実験で拒絶が起きたと、5月14日付の英科学誌ネイチャー電子版に発表した。 iPS細胞をそのまま移植すると、いろいろな組織が含まれる腫瘍〈しゅよう〉(がん)ができる。今回の実験は、この腫瘍を免疫が攻撃する程度をみる手法だった。iPSはほかの細胞に比べて、拒絶のためにがんができにくかったとする論文内容について、山中教授は、「元は自分の細胞でも、がん化すれば免疫が反応して拒絶するのは当然だ」と述べた。