「えこだ~、えこだでございます~」 池袋から西武池袋線に乗り3駅目「江古田」駅が近づくと、車内にノンビリとアナウンスが響いた。そして思った。 ここは「えこだ」なんだ、ふーん。 地下鉄大江戸線の「新江古田」は「しんえごた」なのに。ふーん。 ふーんふーんと不思議に思いつつ駅に降り立つと、そんなわけで駅名標にはしっかり「えこだ」の3文字が書かれているのだった。 「江古田」に2通りの読み方があるのを知ったのは、同じ東京に住んでいながら、ごく最近のことである。用がなければわざわざ行かない街だから、特に行ったこともなかった。 ところが、用ができた。4年前から仕事をしている某出版社の営業部長が、実はシンガーソングライター活動も細々とやっている(ガタイが大きく外見は怖いがシャイな男である)。その部長が江古田のライブハウス「江古田マーキー」に出演するというので、見に行った。 観客は僕を入れて、