さて。以上私たちが確認してきたように*1、これまでのすずちうさんの短歌は、今まで確認してきた「1.普遍性」「2.物語性」「3.ユーモア」「4.〈私〉の不在」の4つのキーワードによっていくらか分析することが可能とおもわれる。このキーワードを発展的に用いることで、これから問うべき最重要課題、すなわち「すずちうさんの短歌はこれからどうなるか」にある程度の見通しを与えることができるだろう。 だがまずは、議論の煩雑化を避けるためいまいちど、ここまでの内容をまとめておこう。 【6・1 ここまでのまとめ】 4つのキーワード、「1.普遍性」「2.物語性」「3.ユーモア」「4.〈私〉の不在」の関係を整理しよう。 すずちうさんの短歌は、『安易に「固有の体験」性を表に出すのではなく』*2、「1.普遍性」を目指すものが多い。そしてこの「1.普遍性」を具体的に実践する方法が、固有の体験を否定する「2.物語性」を備え