『木下蔭狭間合戦(このしたかげはざまがっせん)』の松本公演へ行った。 地方自治体の独立した自主企画公演だが、文楽座としては、3年前にロームシアター京都の企画で復活された同演目の再演という体裁になっている。これは、京都公演の際のプロデューサー的立場だった木ノ下裕一氏が会場「まつもと市民芸術館」の芸術監督に今春就任予定という縁での企画だと思われる。このホールで文楽が上演されるのは、20年ほど前の開場以来、初とのこと。 ◾️ 「まつもと市民芸術館」は、JR松本駅から大通り添いに15分ほど歩いたところにあった。 公演当日の天候は雪。湿って冷えた空気と大粒の雪がふわふわと舞い散る中、会場に向かった。 外見は、地方自治体によくあるモダンな建築デザインのアートホール。しかし中に入ると、驚くほど空間に余裕のある建物だった。ヨーロッパの社交場を思わせるなだらかで長大なエントランス階段、ホール外周を取り囲む天