2年ぶりに20兆円台の黒字に復帰した国の経常収支だが、キャッシュフローベースで見れば、2年連続の赤字である。 その要因は、海外に投資したまま国内に戻ってこない円の存在と、海外のプラットフォーマーなどへの支払いに伴う資金流出だ。 頼みのインバウンドも人手不足で早晩天井が訪れることが必至。戻らぬ円とデジタル赤字は終わりなき円安の始まりである。 (唐鎌 大輔:みずほ銀行チーフマーケット・エコノミスト) 統計上は大幅に改善しているが……。 2月8日、財務省が発表した2023年の国際収支統計は、日本経済の現状や展望を議論する上で極めて有用な情報を与えてくれるものであった(図表①)。とりわけ2022年3月以降、日本が直面している執拗な円安局面を考察する上で、国際収支以上に言及すべき材料はないと筆者は考えている。