思いっきり周回遅れでやっと映画「ゲド戦記」を見たわけだが、感想は多くの人と同じ。これではジブリ作品の将来があやぶまれる。今まで、ナウシカ・トトロ・宅急便・ラピュタなどの超一流作品を宮崎駿監督の指揮のもとに出して来たスタジオジブリ。優秀なスタッフを抱えていても、監督が違うだけでこんなにも出来が違うとは。結局は監督なんだな、と。 「ゲド戦記」を見てあらためて認識したのは、宮崎駿が作る「世界観」の説得力のすごさ。子供にしか見えないネコバス、毒をまき散らす腐海、飛行石、神様たちの銭湯ーそんな、本来ありえないものを題材にしながら、わずか最初の五分間で彼が作り出した世界が妙に納得できてしまい、あとはワクワクドキドキしながらストーリーを楽しむだけ。それが宮崎マジックである。 映画「ゲド戦記」の一番の問題は、この「観客に映画の中の世界観を瞬時に納得させる力」の欠如である。あんなに「入って行けない」映画は久