自宅リビングのテーブルには、大量の介護付き老人ホームのパンフレットが並べられている。かつて、今年78歳になる親のために集めたものだ。 「母が証券会社のいいなりにならなければ、安心して老後を過ごせる環境が手に入るはずでした……」 苦々しい表情でこう語るのは、都内に住む長塚孝夫さん。彼の母親が大手証券会社を通じて投資信託を購入したのは2年前の夏だったという。購入総額はなんと約6200万円だ。営業マンのいいなりに国内株や中国など新興国に投資するファンドを中心に回転売買が行われ、解約したときには2400万円にまで縮小していた。 証券会社の口座には、運用資金以外のお金は預けない 長塚孝夫さん(仮名)51歳の場合 都内のマンションに妻と大学生の息子、78歳になる母親の4人で暮らす。投信で介護付き老人ホームの入居費用の過半を失ったのは、長塚さんの母親。「今は普通の老人ホームを探している」という。銀行に