古くて新しいステーキの焼き方〜21世紀料理教室 その2〜 〈分子料理学〉によって、これまでの《料理の常識》とされていたものが覆されたものがあります。 「肉の表面を焼き固めても、肉汁の流失は食い止められない」 というのもそのひとつ。 〈肉汁が逃げないように表面を焼きつける〉という方法は1850年頃、ドイツの化学者ユストュス・フォン・リービッヒによって考案されました。この考え方は1930年代に行われた実験によって否定されましたが、最近までまことしやかに語り継がれてきました。 そうではない、という事実も大分、広まりましたが、まだ時々「表面を焼き固めて、旨味を閉じ込めましょう」と書いている料理本や、教えられている料理研究家の方はおられますね。 表面を焼く理由を定義すると 肉の表面を焼き付けることによって褐変反応物質を生成し、風味を増すため です。 メイラード反応によって生成される風味は唾液の分泌を