国際教養学部紀要 VOL.1(2005.3) 生徒指導が極めて困難な事例の研究 T he Case Study of great difficult Pupil Guidance 樋 口 康 彦 H IGUCHI Yasuhiko 目的 担当した学生が,周囲の社会環境に対し不適応をきたしており完全に孤立してしまっているが,そのことを まるで自覚しておらず改善する様子を見せないとする。懸命に,現状に気づかせようとするがその学生の心は 固く閉ざされており,意見が入り込む余地はない。そのような時,教師は,どのように指導していけばよいの であろうか。 そのことを考える前に,そもそも彼らは,知能に問題があるわけではないのになぜ社会的環境に適応できな いのであろうか。それには大きく分けてふたつの理由が挙げられる。まずひとつ目として,対人関係をうまく こなすための技術である社会的スキ