肉や魚などの食材にじっくり火を通す「低温調理」が人気を集めている。しかし、この調理法は正しく温度管理をしなければ食中毒のリスクがある。科学ジャーナリストの松永和紀さんは「ネット上のレシピには加熱の基準を満たしていないものが散見される。沸騰した鍋に鶏肉をつける『自家製サラダチキン』は加熱が不十分となる恐れがある」という――。(後編/全2回) 高リスクなのに全国一律の規制がない (前編「牛肉の注意点」から続く) 肉調理の温度管理はけっこう難しいのに、安易なレシピが氾濫しています。加熱が足りないのです。魚の刺身などに親しんできた日本人の生食好きがそうさせてしまうのか? 後編では、食中毒事故がたびたび発生している鶏肉料理やサラダチキンのポイント、豚肉やジビエの注意点を解説します。 鶏肉で大きなリスクとなるのは、なんと言ってもカンピロバクター。鶏の腸管内にいる細菌です。食べて発症すると、発熱や倦怠感