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  • 社会政策・労働問題研究の歴史分析、メモ帳 働く女子の運命

    社会政策・労働問題研究について歴史的なアプローチで研究しています。ここではそのアイディアやご迷惑にならない範囲で身近な方をご紹介したいと考えています。 濱口先生から『働く女子の運命』をお送りいただきました。ありがとうございます。あとがきを読むと、他の3部作に比べると、うーん、という感じかな。日型雇用を補助線に引くということに付加価値を置いて欲しいという「願い」なんですが、やっぱりそれだけじゃダメだと思うんですよね。 わざわざマルクス主義とか、マルクス経済学を引き合いに出すなら、やはり低賃金論だと思うんですよ。昔の講座派という、もともとは共産党親派の人たちがいて、彼らは日主義の構造として半封建性を指摘していました。その具体的な位相が年功制であり、低賃金だったのです。そこでは中小企業の低賃金に加え、大企業の年功賃金では若年層が低賃金に抑えられていることが問題でした。この構図は大きく転換

  • 社会政策・労働問題研究の歴史分析、メモ帳 『日本の保育労働者』によせて

    社会政策・労働問題研究について歴史的なアプローチで研究しています。ここではそのアイディアやご迷惑にならない範囲で身近な方をご紹介したいと考えています。 大原社会政策研究会の仲間、小尾晴美さんから『日の保育労働者』をいただきました。超お勧めです。おりしも、濱口先生と女性労働についてのやりとりをしているところに、すごくよいタイミングでした(FC2でamazonリンクがなくなったので、こうやって貼っておきます)。理論の話よりも、労働問題はやっぱり実態が命です。濱口先生も私もたぶん、そっちの方がいいんですよね。これはそういう意味でも断然、お勧めです。 このは小尾さんたち五人のグループの研究成果で、私たちはこのが出たことで、現在の保育労働の問題について適確な見取り図を手に入れることが出来るようになったとことをまず喜びたいと思います。そして、言うまでもなく、保育労働はほとんどが女性労働ですから、

  • 社会政策・労働問題研究の歴史分析、メモ帳 再び竹中恵美子先生の著作をめぐって

    社会政策・労働問題研究について歴史的なアプローチで研究しています。ここではそのアイディアやご迷惑にならない範囲で身近な方をご紹介したいと考えています。 濱口先生が私の前エントリを枕に「竹中理論はなぜ使えないのか」ということを書かれているのですが、もう少し内在的になぜ今、読んでもあまり意味がないのか、ということを考えてみたいと思います。まあ、しかし、私は竹中恵美子を読もうとは思っても、自分から『家父長制と資制』を再読しようとは思わないですし、大沢さんの『企業社会を超えて』もそうですね。今、ちょっと読み返してみたら、やっぱり古いなと感じました(竹中先生ほどではないにしても)。今、読むなら、やっぱり『生活保障のガバナンス』ですよ。これ、大沢先生の中で一番じゃないかなと思います。 でも、アカデミックなトレーニングをするという意味では、竹中先生の方がよいと思いますよ。濱口先生も言及されている大沢さ

  • 社会政策・労働問題研究の歴史分析、メモ帳 竹中恵美子先生の著作をめぐって

    社会政策・労働問題研究について歴史的なアプローチで研究しています。ここではそのアイディアやご迷惑にならない範囲で身近な方をご紹介したいと考えています。 今日は終日、都立図書館にこもってました。いろいろ、勉強していたのですが、最初は竹中恵美子先生の全集を読んでいました。ただ、結論から言うと、いろんな意味でなかなか難しいなと感じました。 実は、昨日、ウィメンズプラザで読もうと思って行ってみたんですが、見事に全集が置いてませんでした。たぶん、予算がないんでしょうね。切ない。そこに置いてあったのが『竹中恵美子の女性労働研究50年』というです。結果から言うと、全集ではなくて、このから読んでよかったと思いました。なかなかのめぐりあわせです。なんでこのを読んでよかったと思ったのかと言われると、一つは全集の方にも書いてあるんですが、この自体が全集のきっかけになったんですね。そして、もう一つ、この

  • 社会政策・労働問題研究の歴史分析、メモ帳 POSSEの抬頭に思うこと

    社会政策・労働問題研究について歴史的なアプローチで研究しています。ここではそのアイディアやご迷惑にならない範囲で身近な方をご紹介したいと考えています。 私が労働問題研究を始めた2000年代の前半、左派の凋落は痛々しいほどだった。原因ははっきりしていて、かつては社会科学の基礎教養とも言うべきだったマルクス経済学が、90年代のソ連崩壊とともに徐々に影響力を失ったからである。「マルクス」まわりの最大の魅力はまさに社会科学万般から哲学に至るまで接合するパースペクティブを持っていたことだった。だから、異分野の対話を行いやすかった側面がある。それにマルクス経済学の成果がことごとく無に帰したわけではない。通俗的に言えば、資主義対社会主義、アメリカ対ソ連の対立があり、フリードマンらの新自由主義とマルクス経済学が構図上、対立しているように見えたのである。だから、ソ連が崩壊したことはマルクス経済学が敗れたか

  • 社会政策・労働問題研究の歴史分析、メモ帳 個人から地域へ

    社会政策・労働問題研究について歴史的なアプローチで研究しています。ここではそのアイディアやご迷惑にならない範囲で身近な方をご紹介したいと考えています。 私は「日における社会政策の概念について」(『社会政策』第2巻第2号、2010年12月)において、黎明期(1950年代から60年代)の社会福祉研究の検討を行った。そのときの私の問題意識は、1970年代後半から綜合社会政策としてソーシャル・ポリシーが輸入され、その流れの中でなし崩し的に社会政策の定義が読み替えられていったプロセスを総括しなければならない、というものだった。この中心になったのが結果的に武川正吾であるというのが私の認識である。だから、私は武川さんには厳しい。私も大河内一男流の資制社会(賃労働関係と読み替えてもよい)を軸とする社会政策論を相対化する必要があるという認識は共有しているのだが、それを乗り越えていくためにはいくつかの作業

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