いかに遺すか、[九条]奇蹟の輝き 実に、日本国憲法とは、一瞬の奇蹟であった。それは無邪気なまでに理想社会の具現を目指したアメリカ人と、敗戦からようやく立ち上がり二度と戦争を起こすまいと固く決意した日本人との、奇蹟の合作というべきものだったのだ。しかし今、日本国憲法、特に九条は次第にその輝きを奪われつつあるように見える。この奇蹟をいかにして遺すべきか、いかにして次世代に伝えていくべきか。お笑い芸人の意地にかけて、芸の中でそれを表現しようとする太田と、その方法論を歴史から引き出そうとする中沢の、稀に見る熱い対論。宮沢賢治を手がかりに交わされた二人の議論の行き着く先は……。 [著者情報] 太田 光 (おおた ひかり) 一九六五年埼玉県生まれ。日本大学芸術学部中退。八八年、大学同級生の田中裕二とお笑いコンビ「爆笑問題」結成。二〇〇六年、芸術選奨文部科学大臣賞受賞。 中沢新一(なかざわ しんいち)