※「キングコング 髑髏島の巨神」のネタバレをしておりますので気をつけてください 1970年代の前半、世界のいろいろなところで人類は挫折していた。アメリカはベトナムで挫折し、日本では新左翼が挫折し、ミュンヘンではオリンピックまで大変なことになった。ソ連が挫折するのはもうちょっと先だけど、なんとなくおしなべて「あ〜〜あ……」という空気が漂っていた。 そんな挫折まみれのシケた時代のド真ん中、米軍の撤退真っ最中のベトナムはダナン基地でやっぱり「あ〜〜あ……」とくすぶっている男が1人。ベトナムで猛威を振るった陸軍のヘリコプター部隊の将校、プレストン・パッカードことサミュエル・L・ジャクソンである。結局負け戦になっちゃったベトナムから撤退しても、その後の展望もなにもない。国に帰っても反戦運動家から石を投げられるだけ。もっと己の全てを賭けられるような戦場は、真っ白な灰になって燃え尽きることができるような