北海道喜茂別町の中心地。車通りはあるものの、町民の姿は見当たらない=同町喜茂別で2024年5月24日午後0時12分、片野裕之撮影 2014年に全国の約半数を「消滅可能性都市」と名指しして、衝撃を広げた日本創成会議の「増田リポート」から10年。今年4月に公表されたリポートは、人口を周囲から吸い寄せる自治体が、新たに「ブラックホール型」と分類された。人口集積地の東京特別区とともに名を連ねたのが、北海道の無名のマチだった。 札幌市から車を走らせること約1時間。蝦夷(えぞ)富士とも呼ばれる羊蹄山(ようていざん)(標高1898メートル)などの山々に囲まれたのどかな平野にアスパラガスやジャガイモの畑が広がっていた。喜茂別(きもべつ)町は人口約1900人の北海道内でも小さな町だ。 札幌市との境界になる中山峠の道の駅「望羊中山」以外に目立った観光スポットはない。人口を吸い寄せているようにも思えない。 増田