8月19日。福岡県福岡市・大濠公園能楽堂において第61期王位戦▲木村一基王位(47歳)-△藤井聡太棋聖(18歳)戦、1日目の対局がおこなわれました。 昼食休憩後、木村王位は角を四段目に上がりました。横歩を取った藤井挑戦者の飛車に、そっと触るかのような柔らかな手でした。 「横歩三年のわずらい」 という言葉があります。藤井挑戦者は手をこまねいていると、飛車を生け捕りにされます。 藤井挑戦者は1時間27分考え、15時頃、じっと飛車を元の筋に戻りました。それから1筋の歩を成り捨てたあと、じっと自陣二段目に打って収めました。局面が長引けば、1歩得が活きてきます。 38手目。木村王位は藤井挑戦者の飛車の背中から歩を打ちます。加藤治郎名誉九段(1910-96)の分類によれば「蓋歩」(ふたふ)という手筋。飛車を封じ込めて、そう簡単には自陣に引かせないという手です。 ここで再び藤井七段が考え始めます。17時