【田中洋一】1913年に中央アルプス駒ケ岳(2956メートル)登山で11人が亡くなった中箕輪尋常高等小学校(当時)高等科2年の惨事について、地元の箕輪町郷土博物館が特別展を27日から開催する。遭難1世紀を前に、地元でも忘れられがちな歴史の一端をとどめるのが狙いだ。 登山は「修学旅行」として8月26日から1泊2日の計画で行われた。だが台風級の暴風雨に襲われ、山小屋も荒れていて、校長や生徒9人、卒業生1人が犠牲になった。 企画した柴秀毅・学芸員(41)によると、遭難のまとまった企画展は地元で初めてという。「学校関係者の子孫も犠牲者の遺族もいて、住民感情はなお複雑だが、町民は遭難の事実を知って欲しいし、伝えるのは博物館の役割」と語る。 99年前の出来事を、史料で浮かび上がらせようと努めた。気を使ったのは、1976年刊行の新田次郎の小説「聖職の碑(いしぶみ)」と、その2年後に出来た映画。この