朝日新聞は2006年夏から、「偽装請負」を告発する一大キャンペーンを展開してきた。偽装請負とは、製造業系の大企業で横行する、本来、雇用労働者として処遇すべき人々を請負労働者として扱う、非正規労働者の違法な活用法のこと。これにより、賃金を低く抑え、社会保険や有給休暇の付与など、本来企業側が労働者に対して負うべき義務を不当に回避しているのだ。 朝日新聞による、キヤノンや松下電器産業の偽装請負を告発した記事は、非正規雇用者やワーキングプアの現状に光を当てたと、一部から高い評価を受けた。また、これらの記事は昨年5月『偽装請負—格差社会の労働現場』(朝日新書)という本にまとめられ、一連の報道は複数のジャーナリズム関連の賞も受賞した。 しかし、本誌昨年8月号で既報の通り、当の朝日新聞社内で、偽装請負とのそしりを受けるような労働問題を抱えているというのだから、シャレにならない。紙面で取り上げてきた非正規