とうブログには似つかわしくない、文学のお話です。 「おい地獄さ行《え》ぐんだで!」 二人はデッキの手すりに寄りかかって、蝸牛《かたつむり》が背のびをしたように延びて、海を抱《かか》え込んでいる函館《はこだて》の街を見ていた。―― この書き出しからはじまる小説。 小林多喜二著の「蟹工船」の書き出しだ。 これをもじったうちのボスは、うちの事務所にくる新人さんに、 「おい地獄さ行くんだで!」 君たちは、このデスクにすり寄りかかり、為政者の欲望の海を抱え込んでいる東京の街をみていた・・・。 覚悟はできているな?」 というのだけど、実は、最近の若い人は、まったくピンとこない。そりゃそうだろう、小林多喜二も、「蟹工船」も読んだことはないのは当然として、聞いたこともない人が多いからだ。 「はあ?」 って顔するんだけど、その場でボスが蟹工船の文庫本を渡す。 ここで注意してほしいのは、小林多喜二の蟹工船を読