著者の鈴木邦男さんは1943年福島県生まれ。民族派政治団体「一水会」前代表・顧問。現在はテロリズムを否定して言論活動に専念していますが、若いころは実力行使も辞さない「行動右翼」でした。 本書『愛国者は信用できるか』は40年にわたって愛国運動にかかわってきた鈴木さんの集大成的「愛国心・愛国者」論です。「憂国」と「愛国」の違いに関する考察、三島由紀夫(1925-1970)の「愛国心──官製のいやなことば」論、「右翼思想家」里見岸雄(1897-1974)の紹介など読みごたえがあります。 「右翼」だからといって鈴木邦男さんは他の人に「愛国心」を無理強いするわけではけっしてありません。逆に学校で国旗・国歌が強制されるような現状を強く批判されています。また昨今むやみに増えた威勢のいい”愛国者”たちにも閉口されているようです(以下は本書132頁からの引用)。 「愛国者」といわれる人々が『諸君!』『正論』