ブックマーク / diagostini.blogspot.com (35)

  • ムール貝博士のパンドラ的質問箱 その416

    てぶくろを解任さんからの質問です。(ペンネームはムール貝博士がてきとうにつけています) Q. めんどうな用事はもちろんのこと楽しいであろう用事さえも行くまでが憂で億劫なことが多いです。人間はなぜそのようにできているのでしょうか? これはですね、まずヒトがいかに特殊で不遜な生物であるかということから始めなくてはなりません。 僕ら人間をのぞいて、およそすべての生物は常に死と隣合わせの日々を送ります。なんとなれば自身を料とする上位の生物がいるからです。ライオンくらい上位になると捕される危険性はあまりないですが、その代わりに料調達のハードルがやたらと高く、ふつうに餓死と隣り合わせです。したがって、生物が生きるためにかかるコストは例外なく死を遠ざけるために費やされます。 このヒリついた環境では、いつもと違うちょっとした行動が命取りになりかねません。ヒトにとっては美点ともされる好奇心も、多くの

    ムール貝博士のパンドラ的質問箱 その416
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    t374589 2024/02/19
    “生存に不可欠な用事ではないからです”
  • ムール貝博士のパンドラ的質問箱 その405

    張り合う2枚 メトロノーム注意報さんからの質問です。(ペンネームはムール貝博士がてきとうにつけています) Q. 幼少期や若い頃の苦い経験や後悔を思い出す度に、反射的にこれを振り切るべく「ハッ!」と小さく声が出てしまいます。ザゼンボーイズの向井秀徳の演奏前の掛け声が最も近しいです。いつかは治るだろうと放置していましたが、歳を重ねた40歳でもなかなか治る気配がありません。人生の先輩であるムール貝博士も、この様な現象はありますでしょうか。また、この発作的な反射行動を治すにはどうしたら良いでしょうか。 ムール貝博士の、と銘打っておいてなんですが、博士は他人に対して微塵も興味がなく、また彼の辞書には苦い経験も後悔も一切存在しないので、助手である僕が代わりにお答えしましょう。 思い出したくないこと、僕も山ほどあります。いずれ減るものだとばかり思っていたのに、今では量産体制がすっかり整っていて、ベルトコ

    ムール貝博士のパンドラ的質問箱 その405
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    t374589 2023/11/06
    山ほどある
  • ムール貝博士のパンドラ的質問箱 その403

    Q. 私にとって「詩を書く」という行為は、自分の核を表現することです。それゆえ、自分が消費されてしまうかもしれないのが怖く、書いた詩を人に見せることにまだかなり抵抗があります。でもこのまま自分のなかだけで抱え込んで死んでいくのも、なんだかなあという感じです。やはり作品を世に送り出すのは、消費される覚悟ができてからのほうがよいのでしょうか? ふむふむ。これはいつの時代にもあって尽きない悩みのひとつかもしれないですね。詩にかぎらず絵を描いたり歌ったりコスプレをしたりといった多くの表現でも当てはまるんじゃないだろうか? ただ昔からあれこれ発信しているわりにこれといって甲斐がない点では人後に落ちない僕からすると、消費されることを発信前に考えるのはやや勇み足、という印象です。なんとなれば消費されるためにはまず①人に届く必要があります。そしてよほどの天才でないかぎり、②そう簡単には人に届きません。さら

    ムール貝博士のパンドラ的質問箱 その403
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    t374589 2023/10/23
  • ムール貝博士のパンドラ的質問箱 その400

    これは言ってみれば河童の頭にある皿のように過ごすということであり、もしくはタンスの角につけ狙われる足の小指のように、表面張力ギリギリの水のように、夜のオウムのように、確認されているUAPのうち今も科学的に説明のつかないわずかな目撃例のように、婚約したばかりなので絶対に生きて帰ると照れくさそうに話す兵士のように過ごす、ということになりましょう。 向こうが透けるほど擦り切れたパンツのようにと言い換えてもいいし、映画のエンドロールのようにとか、ダイヤモンドのようにとか、まだ発見されていない新種のキノコのようにとか、ビンの底に残った高いお酒のようにとか、古い民家の襖のようにとか、1だけひょろ長く伸びた体毛のようにとか、何なら人生の伴侶に選んだたった一人の誰かのようにと言い換えてもよろしい。わかるようでなんだかよくわからないなりに、じっさい大切なことは確かに大切だし否定もできないのでそりゃまあ大切

    ムール貝博士のパンドラ的質問箱 その400
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    t374589 2023/08/16
  • ムール貝博士のパンドラ的質問箱 その393

    歳をとるのがこわいのは、ある時点から下り坂に転じる印象があるからかもしれません。そしてそれはまあ、概ね事実です。それまでずっと上り坂だったのにすぐ先に下り坂が待ちかまえているとしたら、それは誰だってこわい。ジェットコースターと同じです。 しかし実際のところ、ジェットコースターは下り坂に突入してからが真骨頂です。下り坂のまま地面に激突して死ぬわけでは絶対にないし、「あのガタゴト登るとこまでは楽しかったのになあ」と振り返る人はまずいません。だいたい、下り坂にならないと「うおわああああああ」と絶叫することもできないのです。「歳をとるのがこわい」までが序の口である、と言い換えてもよろしい。

    ムール貝博士のパンドラ的質問箱 その393
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    t374589 2023/06/17
  • 1本1本、地道に心の草むしりをする話

    ロゴを微妙に間違える主任 以前からそういう意識がないではなかったけれど、ここ数年はとくに「こうあって然るべきだし、そうあって当たり前」を心からなるべく減らすように努めています。 たとえば眠ること、歩くこと、べること、笑うこと。を読んだり、熱い湯につかること。言ってしまえば何でもないようなことです。実際のところいちいち立ち止まるようなことでもない。その上で、あんまり当たり前だとおもわないようにしているのです。 減らすと言っても気づかないうちに長い年月をかけて蔓延ってきたものだから、火炎放射器で焼き払うようにはいきません。焼き払えたように思えてもたぶん根が残ります。当に1、地道に草むしりをするような向き合い方です。 最近やっとわかるようになってきたけれど、世界はいつもすこしずつ変わります。たまに激変するように見えても、基的にはやっぱりすこしずつです。いっぺんに変わることはまずあり

    1本1本、地道に心の草むしりをする話
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    t374589 2023/01/03
  • ラストノート/Quod Erat Demonstrandum

    ► 3016 (1) ► 02 (1) ► 2024 (15) ► 04 (2) ► 03 (5) ► 02 (4) ► 01 (4) ► 2023 (52) ► 12 (6) ► 11 (4) ► 10 (4) ► 09 (5) ► 08 (3) ► 07 (4) ► 06 (5) ► 05 (4) ► 04 (4) ► 03 (5) ► 02 (4) ► 01 (4) ▼ 2022 (55) ► 12 (7) ▼ 11 (4) 数年ぶりのライブイベント「アグローと夜」完売のお知らせ 「アグロー案内」の奥行きが変わる細部について、その2 「アグロー案内」の奥行きが変わる細部について少し ラストノート/Quod Erat Demonstrandum ► 10 (4) ► 09 (5) ► 08 (4) ► 07 (5) ► 06 (4) ► 05 (4) ► 04 (5) ► 03 (5)

    ラストノート/Quod Erat Demonstrandum
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    t374589 2022/11/07
  • ムール貝博士のパンドラ的質問箱 その377

    人生万事最高な歌さんからの質問です。(ペンネームはご人によるものです、というか来それが普通ですが) Q.私も物事には様々な側面があると常々思っていて、アインシュタインの「常識とは、18歳までに身につけた偏見のコレクションにすぎない」という格言を愛してやまないのですが、大吾さんにとって、これだけは確かな事だ。といったものはありますでしょうか。 アインシュタインのこれはもう、当にぐうの音も出ないほど、いい言葉ですね。僕もたとえば新婚家庭の卓で味噌汁に入れる玉子について「かき玉って珍しいね、普通は落とし玉子でしょ」「は?落とし玉子の方が珍しくない?普通はかき玉だよ」みたいなやりとりがあって云々と聞いたときなんかにこの格言を思い出します。人が常識と思い込んでいるものの正体を端的に教えてくれる例のひとつです。

    ムール貝博士のパンドラ的質問箱 その377
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    t374589 2022/08/16
    “生涯を通じてこれがすべてと言い切れるほどの揺るぎない真理をこれ以上ないほど簡潔に表しているように見える”
  • ムール貝博士のパンドラ的質問箱 その379

    鳴かぬならわたしが鳴こうほととぎすさんからの質問です。(ペンネームはムール貝博士がてきとうにつけています) そうですね、健康のためにと考えることはあまりないですが、そのかわり肉体の変化をなるべく些細なことでも自覚するようにはしています。姿勢とか、筋力とか、注意力、あとは歯とかですね。特に手や足を動かすときの軌道は日々、ミリ単位のごくわずかなレベルで少しずつズレていく実感があります。どのみち衰えていくんだから無理してそれに抗うつもりはないけど、そのペースが緩やかになるならそれに越したことはないし、その結果として健康の維持にもつながるなら御の字という感じです。

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    t374589 2022/06/18
    ほどほどに
  • ムール貝博士のパンドラ的質問箱 その375

    Q. 接客業をしていると、時折理不尽な「神様」が降臨するのですが、そんな時にじぶんのメンタルを保つお呪いを教えてください。(絶賛凹み中) よくわかります。よくわかる理由をさんざん書き連ねた挙句思い直してぜんぶ削除しましたが、よくわかります。とりあえず僕の記憶にある接客は、アルスクモノイの店番を除けば、まだ10代だったころに確か天ぷら付きそうめんをコントよろしくお客さんの全身に丸ごとぶちまけてしまったうどん屋でのアルバイトが最後です。そんな僕がよく効くおまじないを知っていたら、今ごろスーパー店員としてTikTokあたりを賑わしていたに違いありません。 いつの世も、理不尽な人は一定数存在する、それは事実です。そしてなお悪いことに、下の世代の手であるべき年代になってもまだ傍若無人であり続ける人がわりと普通にいる、これも事実です。中には子や孫のある人もいるし、いったいこれまでどうやって周囲と折り

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    t374589 2022/05/23
  • ムール貝博士のパンドラ的質問箱 その374

    単刀直入にして深淵かつ究極の、それがわかりゃ誰も苦労はしない質問のひとつですね。「どうしたら世界は平和になるのか」に近いものがあります。決して当たり前のことではないし、なし得たとしてもいつまで続くのかもわからないことを考えると、両思いもまた争い続ける人類の、ごく個人的な停戦にすぎないのかもしれません。 これは常々おもっていたことだけれど、人は恋をする時点で、相手のことをほぼ何も知りません。外見と、表面上もしくは内面からにじむ性格のごく一部を知っているだけです。すでに20年連れ添っている僕ですら、いまだに知らなかったと驚かされるくらいだし、はじまりの時点で相手についてわかっていることなど爪先ほどにすぎない、と断言してよいでしょう。そしてまた爪先だけで相手のすべてを受け入れられる気になってしまうのだから、恋とは結局のところ何なのか、推して知るべしです。 また、好きな人と付き合ったからといって、

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    t374589 2022/05/14
    天下無双!
  • ムール貝博士のパンドラ的質問箱 その372

    のっけから暗黒級の悲観に聞こえるかもしれませんが、朝起きて非の打ちどころがない好天に恵まれていたとき、僕の第一印象は昔から今に至るまで一貫して「死ぬにはもってこいの日」です。もちろん、死ぬなら今だと鼻息荒く滝壺にダイブすることを考えるわけではありません。むしろ逆で、こんな日に人生を終えられたら最高だろうな、とその美しさに打ち震えます。それが若干いびつな感動である自覚もなくはないけど、昔からそうなのでまあ仕方がありません。 実家で飼っていた柴犬のてんぷら(という名前でした)が老衰で息を引き取ったとき、ひなびたのどかな丘陵地で火葬してもらったんだけど、その日が当に雲ひとつない快晴で春の風も穏やか、生涯を畳むのにはまさに完璧な一日だったことを今もよく覚えています。こんなふうに日々を終えることができるなら言うことないとしみじみ感じ入ったものです。人だとなかなかそうシンプルにはいきそうにないし、だ

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    t374589 2022/05/06
  • ムール貝博士のパンドラ的質問箱 その369

    Q. 私は37歳なのですが25歳の彼女がいます。気はすごく合うのですがたまに育ってきた年代が違うせいでギャップを感じることがあります。その溝を埋めるにはどうすればいいでしょうか? かれこれ400回近く続けてきた質問箱ですが、その中でも群を抜いて忌々しい質問です。37歳で25歳の恋人がいてなおそのギャップを埋めたいとはふてえ野郎だと舌打ちするほかありません。どちらかといえばスコップを持って集まるように呼びかけて大勢でその溝をマントルあたりまで掘り下げたいくらいです。「大富豪ですがお金で買えないものが欲しいです」と言うのに近いものがあります。望んで得られる境遇ではまったくないことに毎朝感謝しまくらなくてはいけません。 怪獣だったら町を片っ端から破壊して回りたい今のわれわれの心中はさておき、というのはつまり恋人云々をちょっと脇に寄せてお話しするなら、それなりに長めの年月を生きてきた僕も世代のギャ

    ムール貝博士のパンドラ的質問箱 その369
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    t374589 2022/04/11
    “言い換えるなら視点がいつも「今」に置かれていて、かつてはこうだったと過去に照らし合わせて考えることがほとんどないのです”
  • ムール貝博士のパンドラ的質問箱 その367

    Q. 感情に翻弄されることが多いです。大吾さんは、嬉しいことやいらつくことなど、どのように感情をコントロールしていますか。 これは僕もすごくよくわかります。すごくよくわかるということはつまり僕も感情に翻弄されまくる上に全然コントロールできていないからわかるのであって、話を始めたそばから終了してすみません。

    ムール貝博士のパンドラ的質問箱 その367
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    t374589 2022/03/27
    “他人を否定しないためには、まずじぶんを受け入れなくてはいけないのです”
  • 人にやさしくするということ

    もうかれこれ長いこと、木の枝にぶら下がるシャツの切れ端よろしくずっと心に引っかかっている、カート・ヴォネガットの言葉があります。「人にやさしくしろ!(You've got to be kind!)」というシンプル極まりない、こう言ってよければちょっと当たり前すぎておもしろくもなんともないように聞こえる一言です。 これを目にしたのは「国のない男」という随想集で、ヴォネガットの生涯における最後の一冊ということになっています。その中のある一節で、「ぼくたち、大丈夫ですよね」と不安そうに問いかける若者に対して、ヴォネガットがこう答えるのです。

    人にやさしくするということ
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    t374589 2022/03/24
    “人に親切であること”
  • ムール貝博士のパンドラ的質問箱 その365

    Q. 私は2年ほど前に結婚したのですが、その際苗字が「石崎」から「中﨑」になりました。仕事上でも苗字変更したので、暫くは周囲にこのマイナーチェンジ?を説明したものの、未だにしょっちゅう「崎」と「﨑」を間違えられます。(「石」から「中」の変化に気をとられて、些細な違いまで覚えてもらえないんですかね?)まあ間違えられたからと言ってほとんど支障はないのですが、この「一部の違いかと思ったら全部微妙に違った」みたいなややこしい話を1発で相手に記憶してもらえるような素敵な言い回しがあれば教えてください。 ふむふむなるほど、お気持ち、お察しします。名前の間違い、切ないですよね。しかし生まれてこのかた何ひとつ変更などしていないにもかかわらず判で押したように「大悟」と表記を間違えられる僕からすると、こんなのは片腹痛いと一蹴するほかありません。なんとなれば僕のほうには「変更したから仕方ない」とじぶんを慰める理

    ムール貝博士のパンドラ的質問箱 その365
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    t374589 2022/03/13
    “「じぶんが正しいのだから相手が変わるべき」という認識にブレーキをかける、”
  • ムール貝博士のパンドラ的質問箱 その364

    よい質問です。立ち止まることを意識している時点でまず問題はなさそうですが、いかに立ち止まるかというのは人生の、とりわけ後半においてはより大きな意味を持ってくることのひとつだと僕もおもいます。 かく言う僕も今に至るまでありとあらゆる事柄に対して、たぶんこれは当だろうな、というフワッとした認識のまま歩み続けています。と言ってもすべてを疑ってかかっているわけではもちろんなくて、例えばいま僕は多くの人と同じように「地球は丸い」と認識しているけれども、仮に実は皿みたいに平らだったという新事実が目の前で叩きつけられたとしても、そこに説得力があればそれを受け入れられるくらいの心持ちでいたい、ということですね。

    ムール貝博士のパンドラ的質問箱 その364
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    t374589 2022/03/05
    “たかだか数十年生きたくらいでこの広い宇宙をわかった気になってんじゃねえよといつもおもう。”
  • ムール貝博士のパンドラ的質問箱 その362

    Q. 今、私の職場はソーシャルディスタンスのため、休憩は一人一部屋で過ごすように決められています。おかげで以前は休憩中に落ち着いてご飯をべれてなかった私はとても助かっています。このように、ウィズコロナが普通になった今なんだかんだ人と関わることにエネルギーを使う人間には生きやすい環境になったのではないかと思っています。大吾さんはここがこうなったら生きやすいのにな、と思うことはありますか。 パンデミック下において思いのほか過ごしやすくなった人は、たしかに多くいるはずですよね。早く元に戻ってほしいと願う人がいるのなら、当然その逆だって同じくらいあるはずなのに、「普通ならこう感じるはずだし、みんな我慢している」という空気に気づけばどっぷり満たされていて、なんとなく口にするのが憚られること自体、率直に言って忌々しい。僕自身もまたどちらかと言えば「そうではないほうの民」なので、そのお気持ちはすごくよ

    ムール貝博士のパンドラ的質問箱 その362
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    t374589 2022/02/19
    “とかくこの世はままならないという大前提抜きに生きることなどとてもできないし、だいたいヒト以外の生き物はみんなそうじゃないかと受け止めているところがあります”
  • 2年をへた今、かすかに鳴り響く心のアラート

    それまで何ひとつ制約を受けなかった在りし日の日常に思いを馳せながら、来なら得ていたはずの大小さまざまな機会とその尊さを噛みしめます。いずれ収束したら、とすこし先の未来を思い描くこともあるし、ホントそうだよねと頷くほかありません。 2年もたってまだ現在進行形だなんて想像もできなかったこともあるけれど、いっぽうで僕としてはもうこれ以上、何かを取り戻そうとするような向き合い方をしたくない、という気持ちが日に日に強まっています。あるものを大事にするならともかく、ないものをあったと仮定して惜しむその先に何があるのか、以前とは明確に異なっていて思うようにいかない日々を、否定するのにいいかげんうんざりしつつあるのです。 人生の半ばを過ぎてもいまだに地に足のつかない暮らしをしていることもあって、もしあれもこれもなかったらと想像することが今もよくあります。屋根がなかったらとか、ただでさえ少ない友人がいなく

    2年をへた今、かすかに鳴り響く心のアラート
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    t374589 2022/01/01
    ““YOU PLAY WITH THE CARDS YOU’RE DEALT..” ”
  • ムール貝博士のパンドラ的質問箱 その351

    寂しいという感覚はもちろんわかります。たとえば人がいっぱいいてざわめいているような場で、誰とも会話を交わすことなくぽつんと佇んでいるときに感じるいたたまれなさは、寂しいと言い換えてもいいとおもう。正確には自分が寂しいというより、傍目からは寂しく見えるだろうな、という客観的な意味合いのほうが近いとおもいますが、それほど大きな差はないはずです。個人的には逃避のしようがないこの状況のほうがよっぽどしんどい。 僕はそもそも知っている連絡先が人生の折り返し地点を過ぎた今も紙切れ一枚で済むような、きわめて身軽な男です。友人が少ないと言ってしまえばそれまでのことだけれど、何しろずっとこんな感じなので、しょうがないよな、と大らかに受け止めているところがあります。またその裏を返せば、寂しくない状況をろくすっぽ経験したことがない、とも言えましょう。海底しか知らない深海魚が海底の暗さを訊かれてもピンと来ないのと

    ムール貝博士のパンドラ的質問箱 その351
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    t374589 2021/11/29
    “まずはひとりで完結できる世界を構築することです。”