ブックマーク / sasaboushi.net (7)

  • 【感想】『ループ・オブ・ザ・コード』荻堂顕

    Amazon.co.jp: ループ・オブ・ザ・コード : 荻堂 顕: 帯文にしつこく二回も書いてあるしインタビューでも明言されているので書くけど、『虐殺器官』フォロワー。設定にしても文体にしても、もろ『虐殺器官』、というか伊藤計劃でありながら、でも2020年代にアップデートされた質感と問題意識だと思った。疫病禍という現実からの地続きの先に持って来た〈抹消〉と〈イグノラビムス〉の設定は荒唐無稽なスケールでありながら、書き込みに説得力がある。メインのテーマも出生の問題と、『虐殺器官』や『ハーモニー』とつながりながらも違う面の生命倫理を問うものになっていて、超意欲作だと思った。 分量としてはかなり長めで、長く楽しめるけども、この分量要ったのか?は疑問符がつくかもしれない。それくらいテーマが盛り盛りになっている。主人公も二足のわらじでえらい忙しいし。でも、「いやそのダブルワークは無理だろ!」と

    【感想】『ループ・オブ・ザ・コード』荻堂顕
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    t_f_m 2023/01/15
  • SF好きなら「(実在しない)切り抜きチャンネル」はチェックしろ

    この記事を書いた理由 昨日、文学フリマ東京35のWebカタログをチェックするスペース配信を行いました。 その中で、今回文フリ東京に出店予定の「(実在しない)切り抜きチャンネル」についてコメントしたところ、私と共にスピーカーになってくださったねじれ双角錐群のcydonianbananaさん、murashitさんのお二人が共にこのチャンネルをご存じでなく、また聞いてくださっていた方の中にも複数の方が「知らなかった、面白そう」という反応を返してくれていました。 自分は小説については感想をこのブログに書き残し、布教すべきものを布教したいと思っていますが、YouTubeなどの動画コンテンツは分ではないというか、そんなdigってないし、見たものについても特別感想を書いたりはしていません(聴いた音MADをひたすらツイートし続けている事例はあるが……)。この「(実在しない)切り抜きチャンネル」についても

    SF好きなら「(実在しない)切り抜きチャンネル」はチェックしろ
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    t_f_m 2022/11/15
    "今回「(実在しない)切り抜きチャンネル」はSFファン向きだと思われるのにあまり知られていない" / "文学フリマにSFカテゴリでスペースを出すということは同チャンネル側も多少なりともそういう方向を意識してる"
  • 【感想】『清少納言を求めて、フィンランドから京都へ』ミア・カンキマキ 末延弘子 訳

    清少納言に憧れ、京都に旅立つフィンランド人女性の長編エッセイ。 あまりエッセイを手に取って読むということがないのですが、このに関しては昨年の刊行後から良い評判を度々耳にし、Twitterでフォローしている信頼できる有識者も複数人が絶賛していたので、読んでみました。 自分も絶賛です。非常にオススメ。読んでる途中から良すぎて思わず色んな人に布教しまくってしまったくらい。 筆者の清少納言に対する憧れと愛情は読んでいてひたすら眩しいし(筆者が「セイ」と呼びかけるのが当に良い)、時に塞ぎ込んだりしながらも行動を続ける姿には勇気がもらえます。枕草子の引用や、それと重ねた文体(ものづくしリストなど)、ユーモアと皮肉、その目を通して描写される瑞々しい京都、どれも一文一文が素晴らしい。憧れて追いかけて、最後に気づくシーンが当に良かった。 日人としてはこれだけの情熱で清少納言について語られたがフィン

    【感想】『清少納言を求めて、フィンランドから京都へ』ミア・カンキマキ 末延弘子 訳
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    t_f_m 2022/06/22
  • Kindle Direct Publishing (KDP)がペーパーバックに対応したので早速出版してみた(登録編)

    2021年10月のサービス開始当初の使用感を速報した記事なので、最新の状況と異なる可能性がある点をご了承ください(2022年11月追記) してみた!!!(まだ出版されてません。登録完了して審査中の段階です) (追記)販売開始したので続きも書きました!! KDPまだ流行ってない頃にいち早く電子書籍を出してみてから早6年半。ついにKindle Direct Publishingが日でもペーパーバックのオンデマンド出版に対応したとのことで、早速やってみました! 対応したよという記事がタイムラインに流れてきて知ったのが19:30、そこから作業して21:15に入稿しました。スピードでは負けない。 といってもそんなスピードで作品が書けるわけはなく、入稿したのは昨年発行したリフロー型電子書籍化不可能小説合同誌『紙魚はまだ死なない』の収録作である『冷たくて乾いた』です。ちょうど先週末にPDF版をBOOT

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    t_f_m 2021/10/21
  • 紙魚はまだ死なない – リフロー型電子書籍化不可能小説合同誌

    リフロー型電子書籍にすることが絶対にできないオリジナル小説を集めた合同誌。 →まえがき ※リフロー型電子書籍:表示するデバイスの画面サイズや文字サイズ設定に合わせて、流動的なレイアウトで表示する電子書籍 春霞エンタングルメント /cydonianbanana 衛星カリストの採掘オペレーター・トマはその日、二〇五〇年のβ地球へログインし、山奥の旅館で恋人のニナと落ちあう。地球−カリスト間の通信ラグで四〇分間ずれた時間を過ごす二人の前に現れたのは、世界の仕組みに精通する謎めいた湯守の老婆だった——可能世界と宇宙の距離を超えて絡み合う、湯けむりSF恋愛譚! twitter: @cydonianbanana https://about.me/cydonianbanana しのはら荘にようこそ!/ソルト佐藤 『しのはら荘』は4つの部屋だけの小さなアパート。でもそこには、巨乳の美人管理人さんがいるので

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    t_f_m 2020/03/22
  • 雨月物語SF『雨は満ち月降り落つる夜』 #文学フリマ 東京にて (3)

    2019年5月6日の文学フリマ東京にて頒布する雨月物語SF『雨は満ち月降り落つる夜』の告知記事です。特設サイト、(1)、(2)から先にどうぞ。 そうです。前後編とは言いましたが(3)がありました。 (1)(2)の作品紹介を書く上で、告知という位置づけで私や他の参加者を知らない方に向けて書くようにしたので、参加者の話(誰それらしい作品、みたいな)はしないようにしていました。でも、合同誌のコンセプトはわかったけどどういう人が書いてるの、という情報もなんだかんだあったほうが良いかもしれない、と思い、追加で記事を書くことにした次第です。以下、すべて私の個人的な見解ですが、参加メンバーの紹介をします。そういう紹介をすると必然的に内輪感が出てしまうのだが、そういう記事だと思ってください。あと、そんな紹介読んだってわからん、具体的にどんなのを書く人なんだよ、というのもわかるように、Web上で読める作品を

    雨月物語SF『雨は満ち月降り落つる夜』 #文学フリマ 東京にて (3)
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    t_f_m 2019/04/27
  • 雨月物語の魅力

    ※このエントリはPR記事です 雨月物語という作品がある。 江戸時代に上田秋成という人によって書かれた怪異小説9編からなり、近世日文学を代表する作品だと言われることも多い。しかし、じゃあ他に近世日文学って何があるの、と言われると、ぱっと答えが出てこないという人も多いと思う。例えばこういうWikipediaのリストを見ると、フィクションの有名なタイトルとしては、井原西鶴『好色一代男』、近松門左衛門『曽根崎心中』、十返舎一九『東海道中膝栗毛』、曲亭馬琴『南総里見八犬伝』などなど、ああ文学史で名前が出てきたねという作品はたくさんあり、ちゃんと勉強した人はあらすじとか言えるだろうが、読んだことあるかと言われるとまあ読んだことなかったりする。どれもある程度の長さはあり、現代人からするととっつきにくさが無いとは言えない。 それと比べると、雨月物語のハードルは低い。部分的にというのも含めれば読んだこと

    雨月物語の魅力
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    t_f_m 2019/03/24
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