死にたくない、死ぬのはいやだ。 たとえ自分の生の意味が微々たるものでも、やはり死ぬのはいやだ。ふりかえると悲しみしか埋まっておらず、見通しても希望のキの字も見当たらないとしても、やはり死ぬのはいやなものだ。 ましてや、わたし自身、生の意味が微々たるものではないと信じる。辛いこともあったが、いまを生きているのが本当に楽しい。仕事はたいへんかもしれないが、それは「たいへんな仕事」なだけであって、わたしの人生ではない。いっぽう、妻や子はわたしの生そのもの。家族のおかげで生きていられる。 だから、やっぱり死ぬのはいやだ。 のっけからヘンな書き出しでゴメン。戸惑った方もいらっしゃるかもしれないが、別に病気になったわけでも余命宣告されたわけでもないので、ご心配なく。ただ、この本を読んで、かなり奇妙な気分になったので、そのまま書き下した。 逆説的な表現なのだが、著者が解脱を説けば説くほど、わたしは自分の