2011/4/2117:28 おカネの視点から経済政策を考える 片岡剛士 過去20年間、政府は自らのおカネを使って元気をなくした国民を助けようとしたが、国民は元気にならなかった。政府は元気のない国民から税としておカネを取ろうとしてもうまくいかず、国債を発行して国民からおカネを借りつづけることで糊口をしのいでいた。それが震災前のわが国の姿であった。 ◇震災に伴って深刻化するジレンマ◇ このようななか、直接被害が16兆円から25兆円、間接的な被害を含めるとそれ以上になると見込まれる東日本大震災が生じ、国民のもっていた資産が失われ、多数の生命が奪われるという不幸な事態が生じた。 原田泰氏が指摘するように、震災により資産が失われても負債が減ることはなく、債務負担は増加する。震災は、国民の元気をさらに失わせる由々しき事態だ。国民の元気がさらに失われれば、政府は税としてこれまで得ていたおカネを得ること