賞与として支給された株式やストックオプションで得た所得を隠し脱税したして起訴されたものの、一審で無罪とされていた、「クレディ・スイス証券」の元部長、八田隆氏に対する控訴審判決が、1月31日に東京高裁(角田正紀裁判長、伊藤敏孝裁判官、鎌倉正和裁判官)であった。角田裁判長は、検察側の控訴理由をすべて退け、一審の無罪判決は正当として、控訴を棄却。国税査察部が告発し、特捜検察が捜査・起訴した事件で初めての無罪判決は維持された。 フェアで常識的な判断判決は、本件は検察官が多数の間接事実の積み重ねで、被告人の故意を立証しようとしているが、「積極的(=有罪)方向の事情だけでなく、消極方向の事情も踏まえて総合判断をすべき」と判示。一審が認めた消極方向の事情に加え、「被告人が積極的な所得秘匿工作を行った事実がみとめられないことを挙げなければならない」など、さらに踏み込んで無罪方向の事情を評価した。 「わが国